Rewrite:2014年3月21日(金)
ある店長が、「君にはリーダーシップがない!」と社長に宣告され、降格となった。よくある話だ。ところでこの店長は、あすからリーダーシップを身につけるために、どのような努力をするのだろうか。
会社として、そこまでのフォローをしているだろうか?
ふだん何気なく使われる「リーダーシップ」という言葉、あらためて意味を辞典で調べてみると、”指導・統率力”とある。
しかし、リーダーシップ=統率力、と理解することは危険でもある。統率力という言葉のイメージから連想するものは、親分肌であったり、大声で現場を指揮するイメージであったり、個々人まちまちのイメージがあるからだ。
「リーダーシップがない」といわれた店長は、努力課題を間違いかねないのだ。
リーダーシップとは、「目的に向けた対人影響力」とでも訳したほうが誤解が少ない。そして、対人影響力とは、4つの力から生じるものだ。部下に対しても、リーダーシップがないというだけでなく、課題はこの4つのうちでどれなのかを教える必要がある。
1.賞罰を与える力
2.正当性の力
3.同一化の力
4.権威の力
「賞罰を与える力」とは、年収や出世の確率を増やせる、減らせる力を持つ人が他人に与える影響力をいう。社長であればこの力は絶大だ。管理職では、この力をもつ人とそうでない人との格差は大きい。
正当性の力とは、部下がいちいち理由をたずねたり、損得を計算したりせず「店長の命令だからやるのが当然だ」と思いこんでくれている場合に発生する力だ。ときには、有無を言わさずにやらせる能力も大切な力だ。
同一化の力とは、部下と一心同体のつながりがあって、○○さんのためなら無理してでもやろう、と思わせるような人間的魅力のことだ。部下と飲みながら語り明かすことや、一緒に遊ぶことなどから人間関係が深まる。その場合でも、ケチであったら逆効果にもなる。
権威の力とは、専門的な知識や優れた技術をもっていて、誰もが一目おくほどの存在であることだ。また、経営者であれば、強運をもっているとか、先見性があるなどの常人では計り知れないカリスマ性をもつ人は、この力を存分に発揮していると言えよう。
イメージをはっきりさせるために更に具体的に書けば、「賞罰を与える力」の代表的人物が豊臣秀吉や田中角栄だ。「正当性の力」の代表が徳川家康や盛田昭夫。「同一化の力」は、西郷隆盛と長島監督。権威の力は織田信長やビルゲイツだ。
経営者としてどのようなリーダー像を目指すかは自由だが、4つの力をそれぞれに自己採点し、努力課題をはっきりさせることには価値がある。降格にした店長に対しても、なにが課題なのかをこの4つの切り口から指導することが大切ではないだろうか。