ほぼ6日間、病院にこもりっきりになっているといろいろなことが見えてくる。ひとことで言えば、看護婦不足だ。患者やその家族が用事があっても満足に話せないことがしばしばあった。看護婦本来の仕事とは、医師からの指示にそって患者を看護することと、患者やその家族と医師とのコミュニケーションのかけはし、の2点ではないか。
看護婦の絶対数が少ないのではなく、本来の仕事以外の仕事が多いように思われる。便の取りかえ、患者の身体を拭くなどの介護、各種の事務書類の作成、食事の配給、入浴の管理、電話応対とその取り次ぎ・・・ほんとうに看護婦は、よく働いている。休憩時間には看護の勉強をしている看護婦も多い。
感心するくらいによく働いている。
看護婦の多忙さは、私の家内が数年前に入院したときと変わっていない。
病院の生産性が遅々として改善されていないのだろう。生産性改善の怠りは、結果として患者が支払う医療費にはねかえってくるのだが、それでも赤字の病院が多い。病院経営にほんものの経営者が乏しい証ではないか。
もちろん、何かのうらみで書いているのではない。お世話になっている病院の医師や看護婦には大いに満足している。しかし、コミュニケーションという点で不満が残った。
この話は病院だけの問題ではない。一般企業もまったく同じだ。むしろ、一般企業の方が競争環境がきびしく、生産性革命は急を要する。
生産性とは、一人当たりの年間粗利益額のことだ。分母が従業員数+役員数、分子が粗利益額だ。役員でも非常勤は除外し、パートタイマーは8時間換算で一名とカウントする。
白書の平成10年データによると、中小企業の平均値が484万円、大企業が970万円となっている。484万円では給料だけで消えてしまう金額だ。
まず最初にクリアすべきは720万だ。そして、この数字が過去5年間で、どのように推移してきているかを計算していただきたい。
「組織は、製品・サービス・プロセス・技能・人間関係・社会関係・さらには組織自らについてさえ、確立されたもの、なじみのもの、心地よいものを体系的に廃棄する仕組みを持たなければならない」・・・ドラッカー
本来の仕事に帰ろう。本来の仕事とは、粗利益向上に直結する仕事と顧客満足に直結する仕事のウエイトを大幅に高めることである。