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麻雀をやりたい?

家でビールを飲みながら本を読んでいたら息子二人が仕事を終えて帰ってきた。いつもなら夕食のあとはサッサと自分の部屋に行くのだが、今日にかぎって私のちかくで何かヒソヒソ話し合っている。「どうした?」と聞くと、言いにくそうに「麻雀やる時間ある?」という。「なに、麻雀?」と思わず聞き返した。牌(はい)はあるのか、と聞くと長男が友達から借りてきてあるという。ルールは知っているのか、と聞くと長男は知っているが、次男はやりながら覚えたいという。

そこで三人打ちで麻雀を始めたのだが、二人とも自分の手作りで精一杯で場の全体がまったく見えていない。遊び麻雀では強くなれんと、肩たたき券を賭けて勝負したが、もちろん私が圧勝した。

ところでなぜ今ごろ麻雀なんだ、と二人に聞くと、コミックを読んでやりたくなったという。友達にもそういう仲間が多いらしく、ルールを知らない者同士で雀荘に行ったこともあるらしい。プロ雀士を主人公にしたコミックを見ていると、麻雀をやりたくなるように出来ているそうだ。

コミックでは、対局相手のリーチをみて、待ち牌を 100%見やぶったり、連続して役満という大きな手で上がったりと伝説をつくっていく。こちらはそんな相手に着々と手作りしていったところ、いままでの人生で一度もやったことがない 8連チャンという役満を達成。結局、11連チャンという前代未聞の荒技でふたりの子どもから膨大な肩たたき券をかき集めるのに成功し、二人は絶句していた。

これでしばらくは肩こりと無縁の生活ができそうだ。二人の息子には申し訳ないが、カモにネギとはこのことだ。世の中は甘くない。マンガの世界のようになるには命がけの鍛錬が必要なのだ、と私はうそぶいた。もう私とは麻雀をやりたがらないかもしれない。

それにしても、何かを教えようと思ったら、麻雀マンガのようにかっこいいエピソードをたくさん聞かせ(見せて)やるといい。