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孔明の嫁はリケジョ?

最近は、男女ともイケメン全盛の時代。むかしとちがって不器量な人が活躍できる余地が乏しくなっているのだろうか。「顔」を採用基準にしている会社もあると聞く。
しかし、そんな時代だからこそ、諸葛孔明(しょかつ こうめい)を見ならって、「顔」以外の選別眼を養いたいものだ。

孔明(こうめい)とは、いわずと知れた三国志の時代に大活躍した天才軍師「諸葛亮」(しょかつ りょう)のこと。
あるとき、地方の名士で大豪族でもあった黄承彦(こう しょうげん)という男が孔明に「うちの娘を嫁にしないか?」と言ってきた。

当時は15歳で結婚するのが当たり前にもかかわらず、孔明は25歳になるまで独身を通してきた。

「君が嫁を探していると聞いた。私には色が黒くて醜い娘がいる。だが、才知にかけては君の嫁にふさわしい娘だがどうだろう?」

娘の名は黄月英(こう げつえい)といい、そのとき20歳だった。父の財産目当てに寄ってくる婿候補をすべて断ってきていた。学問好きで、罠や道具の開発を得意としていた彼女は、家事や芸事など当時の女性の必須教養はまったくなく、背も低かった。しかも器量がひどく悪い上に、色黒で赤毛ときている。初対面の相手に女性と認識されなかったこともある。

月英自身も、自分が不美人であることを知っており、コンプレックスを持っていた。なにしろ歴史書にも月英の不器量ぶりが書き残されているほどだ。

孔明は黄承彦(こう しょうげん)にむかって「娘さんにぜひお目にかかってみたい」と言った。孔明自身もある意味で奇人である。奇人と奇人はウマがあうかもしれない。

孔明は黄一族のもとに挨拶すべく出向いて行った。そこで、とんでもない珍・歓迎をうける。

屋敷の扉を開けたとたん、2匹のどう猛な犬が孔明にむかって飛びかかってきた。孔明も周囲の者もあわてた。女中が急いで駆けだし、犬を制止し、頭をたたいたところ、2匹のどう猛な犬はピタッと動かなくなった。
「ウッフッフ」笑い声が聞こえた。月英の声だった。
孔明が犬をよく見てみると、精巧に創られた木のからくり人形だった。
月英の仕業と知り、孔明は彼女の才能に一目惚れした。

月英は、今でいうリケジョ(理系女子)だったのだ。リケジョの才能はその後、夫・孔明を救うことになる。

つづきはあした。