★テーマ別★

見える化することで生まれる力がある

7/20(水)に行われた「がんばれ!ナイト」のゲストは、移動動物園Zookiss(ズーキス)の島田直明園長と、ちゃんこダイニング「玉海力」の河邉幸夫社長のお二人。

前号の島田園長につづき、今日は河邉社長のお話しをご紹介したい。

私(河邉社長)は14歳で相撲取りになり30歳で引退するまでの16年間、相撲一本の生活を送ってきました。

さきほどZookissの島田園長が「あこがれの職業は動物飼育係だった」
とおっしゃっていましたが、私にとってあこがれの職業は相撲取りでした。もう一度生まれてきても相撲取りになりたいと思っています。
なぜなら、相撲は実力勝負のプロの世界であり、相撲ほどフェアな世界はないからです。競技スポーツであれば、自分以外の人の力で勝ち負けが決まることがあります。しかし相撲はすべて自分の実力だけで決まるプロの世界です。初めて真剣勝負の激しい稽古をみたときには
「殺されるかもしれない」と思いました。しかし厳しい稽古に耐えていくと、身体が一日ごとに大きく強くなっていくのが分かるようになります。そうすると、とても敵わないと思っていた兄弟子に勝てるようになります。そのうち、滅多なことでは負けなくなるのです。やがて十両に昇進し、そして幕内力士になりました。若貴兄弟(若乃花、貴乃花)とも本割りでぶつかり、勝ったこともあります。食べていけるかどうか分からなかった世界で年収が2,000万円になりました。
しかし首の骨を折って一気に三段目まで落ちたとき、年収は60万円になってしまいました。身体さえ元に戻れば幕内力士に戻れると信じてリハビリしましたが、その後もたび重なるケガに見まわれ引退を決意しました。

1996年、私は30歳になっていました。はじめて相撲以外の世界で生きていく決心をしたとき、一人目の子どもが生まれたばかりでした。
失敗は許されませんでした。先輩力士が経営していたちゃんこ料理店で三ヶ月間、修行を積んだのち、自分でちゃんこ鍋屋をはじめたのです。5,000万円借金して広尾に店をだしました。

1998年、パソコンを独学でマスターし、ホームページビルダーで店のホームページをつくりました。経営の勉強も始めました。そして何年か経ったころ、「経営計画書にもとづく計画経営をやる」と社内発表しました。創業のころのメンバーでそういったやり方を好まない者がいて社内は対立しかかりました。だけど、ここで私が妥協していたら真の経営者になれないと思い、意思を貫きました。古参のメンバーは去っていきましたが、そのおかげで今の統制があるのだと思います。
創業のメンバーとはケンカ別れしたわけではありません。彼らに感謝していることが多いので、今でも交流会は続いています。

玉海力流の経営を一言でいうなら、徹底した「見える化」が特長でしょう。「見える化」とは本来、見えないものや見えにくいものを可視化することをいいます。私はその前に、まず見えるものをきっちり管理できないで、見えないものの可視化などできるはずがないと思っています。

まず最初に目をつけたのは在庫でした。お皿や茶碗、グラス、おちょこといった食器類を一個単位で管理する。さらには塩、醤油、味噌、薬味などの調味料の在庫もきっちり管理する。そのためには実地棚卸しが必要になります。棚卸し表をつくり、そこに実数を記入していくわけですが、慣れない作業なので社員の手際が悪い。面倒くさくて大変だという声が現場からもあがってきます。「たまにしかやらないから大変なんだ。毎月やれば慣れてくる」と毎月やらせました。そうすると社員も手慣れてきて、テプラーなどをつかって在庫の可視化に取り組み、短時間で正確な棚卸しがやれるようになりました。

次がレシピの見える化でした。料理人の職人ワザで料理がつくられていては、味の標準化ができない。すべてのメニューのレシピ化に取り組みました。このレシピ表さえあれば誰でも同じ味を再現できます。
もちろんメニュー開発や素材選びに腕の良い料理人は必要ですが、特定個人だけが特別のノウハウを持っているという状態を作らないことが「見える化」経営のテーマです。

社員の成長も可視化することにしました。社員に期待している仕事ぶりを評価表にして、毎月店長が部下を評価するようにしました。誰がどのような評価をされているか、給料はいくらもらっているかは、互いにすべて分かるようになっています。実力主義のプロの世界は、そうあるべきだと思います。

玉海力の関連会社として株式会社シーパワーを設立しました。
「見える化」することで生まれる力があることから、シー(見る)パワー(力)としたわけです。経営の「見える化」をコンサルティングする会社です。ご要望があれば、玉海力流の見える化経営をすべてご伝授するつもりですのでいつでもお問い合わせください。

★ちゃんこダイニング「玉海力」
http://www.tamakairiki.co.jp/
★株式会社 シーパワー(見える力を英語読みした)
http://tamakairiki.co.jp/seapower/

いかがだろう。
60分間という限られた時間のなかで、少しでも多くのお土産を持ち帰っていただきたいという河邉社長のサービス精神あふれるスピーチでした。その後、全員でタクシーを分乗して玉海力銀座店へ。真夏にいただく名物・塩ちゃんこは絶品です。サラダ、刺身、焼き鳥、などの前菜ひとつひとつが妥協を許さぬ逸品。あなたも是非体験して下さい。