同世代の A 社長とカラオケに行くと、すぐにこんな曲を唄われた。
・・・
僕はあなたの為に
すべて忘れて働いた
絹のドレスも帽子も
みんなあなたに買ってあげた
だけどあなたは
感謝知らず 感謝知らずの女
(中略)
ありがとうと一言
なぜいえないのかなぁ
感謝知らずの女 感謝知らずの女
感謝知らずの女 uh・・・
・・・
そう、井上陽水の『感謝知らずの女』(1972年)だ。
歌い終わるや否や A 社長は、「僕は感謝知らずの女が大嫌いなんですよ。
「ということは今日も何かあったのですか?」と私。
「聞いてくださいよ」とこんな話をされた。
ゆうべ一人の新入女子社員の歓迎会があり、
A 社長も黙っておれなくなったようだ。
「あなたみたいな女性を『感謝知らずの女』と言うんだ、
A 社長とその女性のベクトルが相当ずれているのは間違いなさそうだ
「武沢さんはどう思います?」と聞かれた。
やっかいな質問には、質問で返すことにしている。
「A 社長にはお子さんがおみえでしたよね?」
「ええ、もうみんな社会人です。結婚もしてます」
「お子さんたちが朝起きてきたとき、
「そんな馬鹿な。三度の飯ぐらい親の責任だし」
「じゃあ社員にはどうしてお礼を言えというのでしょう?」
「・・・・・」
何らかの義務感や使命感で行っていることに対しては見返りを求めたくなる。少なくともお礼の言葉ぐらいは欲しいと思う。
もしその行為が義務感や使命感によるものでなく、
「ということは、私も陽水も未熟だったってことですかな?」と A社長。
「さあ」と言いながら、私も選曲に入ることにした。