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ショービジネス

“人生はショービジネス”という説は興味深い。たとえば、人生や会社経営をひとつのミュージカルと考えよう。あなたが主演の人生ショー、経営ショーという舞台を『キャッツ』や『ライオンキング』のような超人気興業にするのもよし。地方の温泉場で上映される舞台演劇にするもよし。いずれにしろ、成功させたいものだ。
成功への手順は同じだ。シナリオ書きから始まってキャスティング、演出、練習、そして本番の幕が開く。

観客を感動させ、ヤンヤの喝采を浴びてアンコールが要求されるような興業であれば、やがてロングランになる。ロングランになれば、その舞台はあなたの文字どおりライフワークとなるだろう。

その逆に、世紀の失敗舞台を演じ続け、やがて閑古鳥が鳴くような興業であれば、早晩、打ち切りの憂き目にあう。

大切なことは二つあるように思う。ひとつはあなた自身の側にある。
あなたの魅力が最大限に表現され、あなたも感動するような舞台になっているかどうかだ。
二つめには、観客の側にある。あなたが演じる最高のステージが、観客の心に届いてるかどうかだ。

ところで昨日号の「編集後記」でご紹介したタクシー運転手との会話にいくつかの反響が届いている。このタクシードライバーは、自ら仕事に感動し、お客をも巻き込んで感動の輪を広げているのだ。

私の父もこの運転手さんと同じく今年76才になります。そういえば、父との会話のなかで、この運転手さんが使っているような「うれしい」「ダイスキ」「ありがとう」という単語を最近聞いた覚えがありません。こうした単語をいつまでも使えること自体が素晴らしいではありませんか。 (神戸市 Yさん)

私はある個人タクシーグループのネットワークを管理する仕事をしています。毎日のようにタクシー運転手と接してきました  が、最近あることに気づきました。それは、タクシー運転手は成長する人だけが成功するということです。運転手の仕事を始め たときには、陽気で人柄もよく、常連のお客さんもあって毎月数十万円は確実に稼いでいた人が1~2年もしないうちに20万 円も稼げないグチっぽい運転手になることがありました。その反対に無口で社交性がないけど研究熱心な運転手が、やがて100 万円近いほどの月収を稼ぐことも目撃してきました。私はその差が最初のうちは運だと思っていましたが、運を呼びよせる本人 の何かがあるように思いはじめています。武沢さんはどのようにお考えですか。(Sさん)

ショービジネスを成功させる要素

1.あなた自身の仕事や人生に対して、「これはすごい」「こいつは面白い」と、まず、あなたが思えるようになろう。そのため  の材料をいつも開発しよう。

人間は自分に対して素直で正直だ。いつまでも同じ感激は続かない。新たな感激が必要であり、それがないと飽きる。人生シ  ョー、経営ショーを演じるあなた自身に対しても、日々感動を新たにする何かの口実を与え続けよう。それをイノベーション  とか革新とか挑戦などとよぶが、それは他でもない。自分自身を感動させるために必要なのだ。

2.あなた自身が何かの観客になって感動を体験しよう。

旅行に行く、おいしいものを食べる、異質な人と会話する、一流のステージを観る・・・。生活と仕事のなかに、そうした非  日常性を取り入れよう。幕末において一部の若者だけが志士たり得たのは、志士活動のなかでの旅と出会いの感動が思想を刺  激していたからではなかろうか。人間、ワンパターンになってはいけない。

3.失敗を恐れない

成功確率100%のショーなどあり得ない。仮に1000回の成功体験があったとしても、1001回目の成功は保証されていない。  なぜなら観客とあなたはいつも活きている。毎回、まったく違う関係なのだ。そうした意味では、毎回が成功確率50%に過  ぎない。大切なことは、いろんな失敗体験を早めにやっておくことだ。あの気まずさをいやというほど味わっておくことで失  敗を恐れない度胸が生まれてくるはずだ。

人生はショービジネスだ!会社経営はショービジネスだ!