Rewrite:2014年3月21日(金)
いつも時間に遅れる社長がいたので、理由をたずねたら「すいません、うちはクレーム産業なものですから・・・」という答えが返ってきた。【クレーム産業】とは便利なことばで、いろいろな言い訳に使える。その腹立ちまぎれでという意味ではないが、今日はクレーム問題について取り上げたい。
かつて、大手の電機メーカーや住宅メーカーが消費者からのクレーム処理に失敗し、ホームページ上でクレーム対応のやりとりを公開されるという事件があった。インターネット時代にあってはいつでも起こりうる出来事として、企業側も対策が求めらてきた。
そうした中で、リコーの取り組み事例が印象的だった。
「クレーム」とひとことで言ってもいくつかのランクがある。リコーでは、それを5段階に分類し、第五段階を「VSC」とよぶことにした。これは「ベリー・シリアス・クレーム」の略で、大変深刻なクレームと訳せよう。
製品の品質にかかわるものや、社会常識的にあるまじき問題が発生したとき、あるいは、そうした問題に発展する危険性があるときは「VSC」に分類される。
このVSCは、クレーム担当役員の常務取締役みずからがその処置にあたるとともに、二度とあってはならないという意味で、全社あげて再発防止を徹底することになる。
重点思考で、この、VSCをなくすことから着手したわけだ。
東京のあるハウスメーカーも、こうした事例を参考に社内でVSC撲滅委員会を結成した。この委員会でVSCに至ったケースを分析したら、例外なく、単一の理由でなく複数の要因が重なってVSCに発展していくことがわかった。
たとえば、雨漏りがするからといっていきなりVSCになることはなく、その後の対応の悪さが重なって深刻な事態に発展する。
一般業務の報告・連絡・相談のしくみの中でクレームもいっしょに扱うと危険であることを同社は発見。一定段階以上のクレームは、直接役員に報告するシステムを作った。
クレームのすべてを撲滅させることは出来ない。しかし、VSCは撲滅しなければならない。あなたの会社のVSCにはどんなものがあるだろうか?一度、社内で話しあってみる必要があるのではなかろうか。