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浸透させる、徹底させる、とは

目標意識に浸りきろう。

A社長は、毎朝の全体朝礼のなかで「今年度戦略五大目標」を全員で唱和させている。その目標はB紙に書かれ、天井に張ってあるので全員が天を見上げて絶唱している格好になる。

B社長は、ミスコピーの用紙を利用して筆ペンを使って目標を筆書している。暇さえあえばそうしている。周囲に人がいれば、わかりきった目標値のはずなのにあえて質問して目標を思いおこさせている。

C社長は、毎週の販売会議の冒頭社長あいさつで、今期方針に関する同じ話を飽きることなく語る。部下からみれば耳にタコができるが、それでこそ浸りきらせた証しだ、と豪語する。

D社長は、毎朝スターバックスへ行く。「本日のコーヒー(大)」を飲みながら、ノートパソコンに向かう。パソコンの中にはマイクロソフトプロジェクトが入っている。目標をプロジェクト管理し、その進捗チェックをする毎朝のこの時間が“至福のひととき”だという。

このように、目標に浸りきった社長には、それぞれのスタイルがある。あなたにあったスタイルを持とうではないか。と、ここまでは前置き。

今日のワンポイントは、そうした方針や目標をいかに実行させるか、全員に徹底させ、成果にむすびつけるには何が大切かという点について述べたい。

結論から申し上げよう。「作業が変わらぬ限り、結果は変わらない」ということだ。意識の変化だけでよい結果がでる場合もあるが、長続きする成果を生むためには、部下の作業方法が変わらねばならない。

「作業を変える」とはいかなることか。部下を目標に向けて行動させ、成果あるものにするための鍵をにぎるのは、次の三つなのだ。

1.目標の定量化と評価サイクル
2.複数の実行計画案からひとつ決定する
3.教育の追加、または作業マニュアルの作成・変更

一番目の、「目標の定量化」とは、だれもが測定可能な数値で目標を表現することである。

「新規客を開拓する」という目標記述ではまったく不十分といわざるを得ない。測定できないからだ。「新規客を年間30件開拓する」でも不十分だ。年度末まで実行が猶予されるからだ。

「新規客を5月2件、6月3件、・・・合計30件を開拓する」というように、測定可能な状態で目標を表現し、なおかつ、結果を評価するサイクルが短いほどよいのだ。

二番目の「複数の実行計画」とは何か。

どの企業でもよくありがちなのは、“発想のワンパターン化”である。目標がいかに斬新で価値ある挑戦であったにしても、それを実行にうつす際の担当者が従来どおりの発想でいては、結果につながらない。

いつもの担当者、いつものやり方に近い実行計画を「レギュラープラン」と呼ぶならば、あえて「アンチ・レギュラー」「やや・アンチ」など、異なった角度や視点からの実行計画を作ることが重要だ。

そのためには、担当者を変えるとか、プロジェクト化して異質な発想を持ち込むなどの工夫も必要となる。
こうして作った複数の実行計画の中からひとつを決定し、実行するのだ。また、時にはひとつの目的に向かい、二つのチームが異なる作戦で進行するケースがあってもよい。

三番目の「教育の追加」「作業マニュアルの作成・変更」とは何か。

そもそも、今までのやり方の延長で達成できるものは「目標」とは呼ばない。それは「見通し」や「予測」だ。目標とは、今までとは異質な結果を出そうという企てである。したがって、教育の追加や作業マニュアルの作成・変更は不可欠である。

<来週に続く>