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御社の「経営計画書」を2万円で下取りします

仮にこんな告知が目に飛びこんできたらどうだろう。

・・・来月、「経営計画合宿」を開催します。最近の御社の「経営計画書」を持参された社長には、それを2万円で下取りさせていただきます。「経営計画書」をお持ちでない方は、今回の合宿で作ったものを下取りすることも可能ですのでがんばって仕上げてください。マル秘にしたい数字や文章があれば、そこを黒マジックしていただくか、ページごと切り取ってお渡しください。・・・

「だったら下取りして2万円値引きしてもらおうか」ということになるのではないだろうか。「下取り」というサービスには不思議な魅力があるようだ。

ジャパネットたかたでテレビを買うと、テレビを一律3万円で下取ってくれる。買おうかどうか迷っていた人にとって、下取りは強烈な購買動機になる。なぜなら、寝室にある古くて小さなテレビは、もともと激安ショップで1万円で買ったもの。それを10年も使っていながら、3万円で買い取ってくれるなんてありがたいことこの上ない。そんなところは、日本中さがしてもジャパネットたかた さんしかいない。そのようにしてジャパネットたかたのテレビは売れていく。

知らない人はこう考える。

「大丈夫なのかな、ジャパネットさん。下取りした製品の大半は再販不能の廃棄物ばかりのはずなのに。それとも、きっちり再販して儲けておられるのかしら?」と。

ごく稀に中古品として売れるようなものもあるらしいが、大半は産業廃棄物になる。つまり、3万円値引きします、とアピールするかわりに3万円で下取りしますと訴えているに過ぎないわけだ。下取りした製品はすべてゴミでも構わないようになっているのだ。

デパートやスーパー、衣料量販店などが行う「下取りセール」は少しニュアンスが異なる。「子供服を1着500円で下取りします」とチラシを打って集客する。主婦は大量の子供服を持ち込むことになる。その集客効果は抜群で、普段の30%や50%アップはおろか、倍増することもあるそうだ。

どんな服でも1着500円で下取り、とあるので、100着ぐらい持ち込む人もいる。ところが実際には1着につき1枚の500円券をもらうことになる。しかもよくみると、その券は5,000円以上お買い物をしたときだけに使える割引券であって、商品券ではない。そうしたことを知らずに100着持ち込み50,000円もらうつもりだった主婦は売場で激昂することになる。

「下取り」という発想は何かと応用がきく。値引きがわりの下取りでもいいし、下取りした製品に魅力があり、再販できれば尚更良い。古くからある下取りビジネスは、自動車や住宅に始まって、家具、家電、楽器、書籍、美術品、OA 機器などたくさんあるが、意外なものであれば話題性抜群だ。

タンスの中やオフィスのキャビネット、保管庫などに入っている様々なものが下取りできるとしたら、思いきって換金し、新しいものを手に入れようとするきっかけになるだろう。下取りしてくれる、という話題性から新たな顧客を集める効果もある。

・要らなくなった食器やキッチン用品を一個1,000円で下取りします、という高級レストラン
・要らなくなった幹部社員を100万円で買い取りします、という人材派遣会社
・要らなくなったお金(100万円)を下取りし、無料で驚きの体験に変えてあげますよというイベント会社
・今回の経営計画合宿に参加してくれたら、要らなくなった経営計画書を2万円で下取りしますというコンサルティング会社

いかがだろう。あなたのアイデアや事例などをお聞かせ願いたい。

「下取りに関して」→ take@e-comon.co.jp