かなり前のことだが、『日経ビジネス』2011年8月1日号で「元気が出る!すごい制度」が特集された。当時はサラッと読みとばしてしまったが、最近あらためて読んでみて、感慨深いものがあった。
せっかくなので強く印象に残った制度をいくつかご紹介してみたい。
「新入社員は全員、富士登山する会社」これは電通である。戦前から続いている同社ならではの伝統で、新入社員はそれを覚悟で入社する。個の力で日本一の山を走破する自信をもつことと同時に、チームで助けあう心も学ぶ。一生の思い出になろう。
「365日社内新聞を発行する会社」
北海道の六花亭製菓では、日刊新聞「六輪」を365日休まず発行している。社員やパートが主人公の新聞で、日々のできごとや改善提案、個人的な悩みなど、何でも投稿できる。社長を含む全員が毎日読んでいる。
「1000人で餅つき大会をする会社」
福岡トヨタ自動車では、年末商戦の書き入れ時にあえて店を閉めて餅つき大会を開催する。社員と家族1000人超が集まり、チームワークの向上をはかる目的。この制度を始めてから販売台数は伸びているという。
「電話も取らない、人にも会わない営業で伸びている会社」
IT サービスの EC studio(大阪)では、電話も訪問営業もしない。それは時間と経費のムダと考え、メール営業のみに徹している。というか、オフィスに電話すら置いていない。「しないこと14ヶ条」もホームページにアップしている。ちなみにその後、同社は会社名を変更し「ChatWork 株式会社」にした。
「本部長・部長は立候補で選ぶ会社」
広告代理店のオプトは本部長・部長は新入社員を除く全員になれるチャンスがある。候補者は戦略をプレゼンし役員がそれを審査する。かつては入社3年目の若手が部長に登用されたこともある。
「上司+1で評価する会社」
日建設計では、直属の上司以外にもうひとり自分の評価をする人を自分で指名することができる。つまり、上司が見ていないところでの評価をしてもらうことで評価の客観性を高めるのが狙い。
「日曜日、3連休でも店長が休める会社」
婦人服の製造・販売をてがけるクロスカンパニーでは、女性社員の比率が96%と高い。書き入れどきの土日や3連休などでも店長が休めるようにしている。家族とともに過ごせる時間を与えることで女性が安心して長期間働ける職場をつくっている。
「次期社長サバイバルマッチを導入している会社」
帝人では、新しい社長が就任した直後から次期社長候補9人が選ばれる仕組みになっている。その9人の候補者にはその事実が伝えられることはなく、毎年2人ずつふるい落とされ、最後に残った1人が次期社長になる。あえて沈黙レースにした点が人間関係にひびを入れない工夫である。
「社員旅行をやめて平日食事会に変更した会社」
センサー製造のメトロールでは、休日を利用した社員旅行の出席率が悪く頭を痛めていた。そこで思いきって旅行を中止し、平日のレストランを利用して豪華食事会に変更した。会社はその日、休業する。だが社員は出社扱い。そのせいで全員の満足度がとても高いイベントになった。
「5人目の子どもを産んだら500万円もらえる会社」
ソフトバンクは出産祝い金の高い会社として有名。2人目までは5~10万円程度の祝い金だが、3人目になると100万円にアップする。4人目は300万円、5人目になると500万円にはね上がる。つまり累計で915万円ももらえる。男女が互いに連れ子を持ちよって結婚し、合計5人目が生まれたときでもきっちり500万円もらえるという。
「3カ月を1年と捉えている会社」
リンクアンドモティベーションは3カ月を一年と考えている。従って、決算や株主総会、正月休みなども一年に四回ある。そうすることで会社も社員も成長スピードを4倍にしようという狙い。
いやはや、どれも面白い。
他にも独自の制度をご存知でしたら自薦他薦問わず、お教え願いたい。
<あすにつづく>