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会社と社員の新しい関係

昨日、株式会社田村設計(田村和雄社長)の社員研修会があった。

「10名の新卒者採用を機に、体系だった教育システムを作っていきたい。会社を良くする手段としての社員教育ではなく、社員に自立・独立してほしいという純粋な気持ちで研修に力を入れていく。」
と田村社長。事実、田村設計では「独立宣言書」なる小冊子を作成し、全社員に配布している。これは、21世紀の社員と企業との新しい関係づくりのために「タムラ式FA制度」や「独立支援制度」を発足したのにあわせて作られた印刷物だ。

田村設計は、パチンコ専門の設計事務所として全国的に名高い会社である。建築不況のなか、新卒社員をふた桁採用している設計事務所は稀有に違いない。それもひとえに全国のパチンコ企業と太い信頼関係を構築してきた長年の信用やブランドがあるからだ。

この会社がユニークなのは、デザイン力や設計力、あるいはマーケティング力だけではない。人事においてもユニークな存在なのだ。本気で社員に独立してもらいたいと考えている。
入社して6年目に入ると第一回FA宣言ができる。基礎教育期間の5年を経過して、自分の適性や会社との相性などを見極め、職業や会社を再考する自由を与える。

11年目には、第二回FA宣言。この段階では、「タムラ学校卒業」として自ら設計事務所を作るか、田村設計の役員として残るかの選択をする。
独立する場合は、会社設立資金を無償提供する。また、しばらくの間は生活支援アウトソーシングと称して仕事を発注する用意もする。

このように、企業が真剣になって無私で社員に接したとき、それを意気に感じない社員がいたとしたら、それは社員がおかしい。社長としては、人生をともにできるはずがない。田村設計では、過去において社長の真意が社員に届かず、不幸な去り方をした社員が何名もいた。「不徳の致すところ」と田村社長は反省するが、反省するだけでなくこうした革新的人事をスタートさせた点が素晴らしいではないか。この人事制度の将来はまだまだ紆余曲折があるかもしれないが、大切なのは、制度の完璧さではなく実行力である。

昨日参加した40名ほどの全社員にもそうした気持ちが伝わったのだろう。午前10:00~午後6:00まで、だれ一人居眠りする人もなく、いやすさまじく高いテンションのままで閉会まで突っ走った。

たしかに講師陣もユニークだった。

午前 ・渡辺りつ子さん(接遇マナートレーナーとして全国的に活躍)
午後 ・香取貴信さん(「社会人として大切なことはすべてディズニーランドで学んだ」の著者)
・田口元さん(百式管理人)
・武沢信行(「がんばれ社長!」作者)

株式会社田村設計 http://www.tamra-ar.com/