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社長が片時も忘れてはならない自覚

某日某所

「今年は経営環境が良くなりそうで明るい希望が持てます」と A 社長。それを聞いていた B 社長が「うらやましいな。うちの業界は今年も来年も一段と厳しくなりそうで経費削減ぐらいしか手の打ちようがない」となげいている。横にいた C 社長が二人にこんなアドバイスを送った。「経営は環境適応業というからどんな環境になってもそれに適応できるカメレオンのような会社だけが50年、100年、それ以上と続いていくわけだ。我々は目先の景気動向で一喜一憂すべきでないよ」なかなか達観されている。

だまってカニ足をほぐしながら聞いていた私に「武沢先生はどう思われますか?」と C 社長が尋ねた。「それに関して私はドラッカーの説が気に入っている、と以下の話をご紹介した。

以下、『現代の経営』より。

・・・そこから導き出される第一の結論は、事業のマネジメントとは企業家的でなければならないということである。すなわち、事業のマネジメントは、官僚的、管理的、さらには政策立案的な仕事であってはならない。第二の結論は、事業のマネジメントは、環境適応的な仕事ではなく、環境創造的な仕事でなければならないということである。マネジメントは、経済に単に適応するのではなく、自ら経済を創造し、もしくは経済を変革するとき、事業をマネジメントしていることになる。事業の本質についての分析が導き出す第三の結論は、マネジメントは業績のみによって評価される意識的な活動でなければならないということである。
・・・

私たちは企業家的であらねばならない。それは環境に適応するだけでなく、環境そのものを創造したり経済を変革する気概をもって臨まねばならない。その結果、社長はだまって決算書だけで勝負できるプロフェッショナルであるべきだ、というくだり、実に痛快で気に入っている。

「なるほどね、打つべき手はいっぱいあるはずですよ、ということか」と B 社長。その通りである。