●「風が吹けば桶屋が儲かる」という発想飛びの遊びは江戸時代の浮世草子、『世間学者気質(かたぎ)』に初出し、『東海道中膝栗毛』でも紹介されて一気に広まった。
「風が吹けば桶屋が儲かる」のはなぜなのかは次の7段論法で説明がつく。
・大風が吹いて土ぼこりが立つ
↓
・土ぼこりが目に入って、盲人が増える
↓
・盲人は三味線を買う(当時、三味線は盲人が弾いた)
↓
・三味線に使う猫皮が必要になり、ネコが殺される
↓
・ネコが減ればネズミが増える
↓
・ネズミは桶をかじる
↓
・桶の需要が増え桶屋が儲かる
●ではここで問題。次の問いに発想飛びの要領で回答してほしい。
・「風が吹けばあなたの会社が儲かるのはなぜか?」
・「夏が終わるとあなたの会社が儲かるのはなぜか?」
誰よりも早く、たくさんの回答ができる人がその会社の経営者である。
社員と一緒になって解いてみよう。
●実は学校でこうした問題を出しているところがある。
作家の万城目学氏(『鴨川ホルモー』『プリンセス・トヨトミ』などの作者)が通っていた高校でも「風が吹けば花屋が儲かるのはなぜか」という発想飛びの宿題が出たそうだ。一番デキの良い作品にはご褒美がもらえるとあって生徒たちの創作熱もかなり高まった。
●ちょうどその頃、生物の授業で教わっていたこともあり次のようなアカデミックな回答をする生徒が複数いたそうである。
「風が吹くと花粉が飛び、それがめしべの柱頭について、花粉管が伸びて、受精して、種子ができて、そこからまた花がたくさん咲いて、結果、花屋が儲かる」
ある意味、自然で美しいし高校生らしい回答と言える。
●だがこの時、万城目氏の作品がご褒美の対象になっているのだが、それは次のようなダイナミックかつ恐ろしい作品だった。
「ある夫婦がいた。夫が朝、会社に出かけた。だが風がとても強く、電車が止まってしまい、夫は家に帰ることにした。ところが、帰宅すると、そこに見知らぬ男がいた。何だこいつ、間男なんぞこしらえやがってと夫が詰め寄ると、妻はぬけぬけとアンタのほうが間男よ、と開き直った。怒り狂った夫は、間男と妻を殺した。殺したあと、その死体を庭に埋めた。すると、埋めた場所に美しい花が咲いた。夫は花屋になって、その花を売り、みるみる金持ちになった」
どうみても高校生とは思えない、おぞましき作品である。
●だがこの時の学校の先生は万城目の作品を最優秀作品として教室に貼りだした。それが万城目氏をして文筆を志すきっかけになっているわけだから、瓢箪から駒である。
「風が吹けば小説家が生まれる」
(参考:『ザ・万歩計』(万城目 学著、文春文庫)
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【編集後記】
◆ん、風邪?