●「どうしたら良いでしょう?」と相談されることがある。それが仕事なのだから相談されるのは当然だが、以前の私なら、「こうすべきです」とか「こうされてはいかがですか?」と即答していた。
特に顧問料をいただいている場合には、なおさらがんばって即答していた。だが、最近はそうしないようにしている。特に顧問料をもらっている時ほど、安易に助言しない。なぜなら、決めるのもやるのも社長であり、社員だからである。
●社長が思い悩んで困っているのに、第三者の私が即答し、それが大正解であるはずがない。もしそれが正解であったとしても、あっさり即答されてしまったら、人間、素直に聞き入れることができないもの。
どちらにしても、解決案を即答することは愚行のようだ。
●その点、昔の賢人はどうしていたのだろう。調べてみたら、孟子に関するこんな逸話が残っていた。孟子の賢人ぶりを見直した次第である。
故郷にいた孟子は、ある日のこと、隣国の国王から招きを受けた。招待の主は滕(とう)の国王・文公である。
その当時、「戦国の七雄」といわれた斉(さい)の国と楚(そ)の国に挟まれていた小さな国の滕(とう)は、斉と仲良くすれば楚ににらまれ、楚と仲良くすると斉に叱られる。絶えず隣国にのみ込まれる恐れもあって、国王はもちろん国民も生きた心地がしなかった。
戦国時代を生きぬくためには、どちらかに付いて守ってもらうしかない。どちらに付くべきか、というのが文公の悩みだったわけだ。
●そこで孟子を招くことにした。現代でいえばドラッカーを呼ぶようなものだろうか。幸運なことに孟子は隣国に住んでいて依頼を受けてくれた。
「孟子殿、かくかくしかじかである。我が国としてはどのようにすべきか、お知恵を拝借したい」と文公。
ひととおりの説明を聞き終わり、孟子が発したことばは意外にも冷たいひと言だった。
「これに対する方策は、吾の力の及ぶところではない」
要するに孟子は、私の力(立場)では判断できない。国王であるあなたがお決めになる問題だ、と突き放したのだ。
●当時の孟子の顧問料は国王相手ゆえにべらぼうに高い。私の顧問料とは比較にならない。今のお金で億単位、いや、さらに上だったと思われる。そんなお金を払っているのに、「私の力の及ぶところではない」と突き放すのが孟子の孟子たるゆえん。
●突き放されると心細くなる。なんでもいい、どんな糸口でもいいからきっかけになる助言がほしいと相手は切羽詰まって求めてくる。
そこで孟子は、「どうしてもとおおせならば」と次のような助言をした。
「ひとつ方策がござる。それは、この城の堀を深くし、この城壁を高くし、防御の手段を尽くすことである。さらにこの城に人民とともに籠もり、国王のために命を投げ出してでも城から逃げずに守ろうという上下一致の姿勢を示すことである。万一、事がやぶれて城も池も他国に奪われるようなことになっても、君臣上下とも城を枕に切腹する覚悟を決めることである。そこまでの覚悟を王が示されれば、民も付いてくるでしょう。そこまでおやりになれば、あとは斉につかえてもよし、楚につかえてもよいでしょう。あるいはどちらにもつかえないということも可能になるでしょう」
●どちらを選べば正解か、という問題ではない。どちらを選んでも正解になるようにする、ということだ。
王が決死の覚悟を持たない限り、どちらを選んでも失敗しますよ、ということでもあった。
●覚悟を決め、行動を誓った文公。その力をみとめた孟子は、そのあと、文公に対して農地政策や租税政策に関しても助言を送っている。
文公もそれを着々と実行に移していく。
まずは、国王としての基本姿勢を指摘した孟子。
今に生きる私たちも学ぶべきことが多い逸話ではなかろうか。
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