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仕様をくれ

「日本のIT技術者は、諸外国にくらべて向上心が乏しい。だって、技術解説書が日本では売れないのよ~。」と嘆く伊藤社長。

外国生まれの日本人、諸外国を股にかけてソフトウエアビジネスを展開される伊藤社長(女性)ならではの実感だろう。また伊藤さん自身が技術解説書を書いているから、その思いはひとしおに違いない。

「サラリーマン意識でやっている技術者は話にならないとしても、独立志向の強い人でも“そこそこの状態”というレベルで停滞している人が多いように思うのです。さらに上を目指そうというエネルギーが不足している。これは大手企業の技術者だけでなく、ベンチャーでも中小でもたいして変わらない。」

伊藤さんの話しを聞きながら私の頭のなかでは、「これは技術だけの問題ではないぞ。営業でも人事でも財務や経理でもマネジメントでもみんな同じかもしれない。」と思っていた。

分野を問わず、その道のプロとして専門性を高めることを怠ってはならない。同時にまた、専門バカになることなく、コミュニケーションや企画立案などのビジネスセンスを磨くことも重要だ。技術者だから技術だけを・・、では心もとない。

業界人によれば、二流以下の技術者には共通のセリフがあるのでよく覚えておくように、ということだった。そのセリフとは、

「正確な仕様をくれ」

というものだ。サイト構築のための会議でも、頭のなかは仕様のことしかない。サイトを面白くするためのアイデアが出ない。技術者の立場というより、職人の立場というべきか。サイト構築ミーティングででるいろいろなアイデアに対しても、「私が気になるのは仕様だけなんです。」という雰囲気が言葉のはしばしにあらわれる。

技術とビジネスの双方に強いこと、または関心があること、を採用の基準にすべきだろう。また、社員教育や人材登用でもそれは同じだ。

私の友人の石橋君は、技術者でありながら顧客に対してアイデアを提案できるのが強みだ。ある会社の新しいウェブサイトの企画会議で、いろんなアイデアを出したことで驚かれた。「うちの技術者は『正確な仕様をくれ』としか言わないのに、なんで石橋さんは自分からアイデアが出せるんですか」と言われたそうだ。その会社では、技術者が社内に引きこもってばかりで、外に目が向いていないと悩んでいる。

「スキルさえあれば食っていける」という職人魂は大切だ。だが、その反動として、仕事の基本的ともいえるコミュニケーション能力に関心がない技術者がいるのも事実だ。そうした人は、あいさつができない、「報告・連絡・相談」ができない、などの共通点をもつ。せっかく成長のための機会となる外界に出てもうまく融合できずに帰ってくる。

その技術者が、コミュニケーション能力の低さを自覚していたとしても、「自分は技術者だから関係ない=技術さえ出来ればよい」と思っていれば、技術が免罪符になってしまい、向上心の足枷となる。

あなたの会社では、「職人タイプの技術者」や「引きこもり技術者」を開眼させるために、どんな手を打っておられるだろうか。よろしければメールしてほしい。面白いアイデアが集まればまたこの話題を取り上げてみたい。

「がんばれ社長!」事務局 info@e-comon.co.jp