江田島の海軍操練所あとを訪れたことがある。
一.至誠に悖る(もとる)なかりしか
一.言行に恥ずるなかりしか
一.気力に欠くるなかりしか
一.努力に憾み(うらみ)なかりしか
一.不精(ぶしょう)に亘(わた)るなかりしか
この五つを当時の幹部候補生は毎日ふり返った。
そんなある日、東京セミナーの最中にこんなやりとりがあった。
「武沢先生、歴史がお好きでしたよね」と山形から参加してくれた S 工場長が質問した。
「はい、大好きです。幕末と戦国は特に好きですね」
「黒田官兵衛が隠居して如水(じょすい)
「如水の意味ですか?、さあ、
「少し近いですが、正確ではありません。
「なるほど」
「私も工場を預かる立場として、この『水五訓』
「水五訓、どんな内容ですか?」
S 工場長が教えてくれた「水五訓」がこちら。
・・・
一.自ら活動して他を動かしむるは水なり
二.常に己の進路を求めて止まざるは水なり
三.障害にあい激しくその勢力を百倍し得るは水なり
四.自ら潔うして他の汚れを洗い清濁併せ容るるは水なり
五.洋々として大洋を充たし発しては蒸気となり雲となり雨となり雪と変じ霰(あられ)と化し凝(ぎょう)しては玲瓏(れ
いろう)たる鏡となりたえるも其(その)性を失はざるは水なり
・・・
「一」は、水のように主体的に動けという教え。
「二」の教えは「水は自ら止まらない」ということ。
ことだ。
「三」は水のエネルギーの性質を説いている。
い。
「四」
でありたい。
「五」では、水が温度や器の形によって次々と形を変え、
た自然体の人生を送りたいものである。
なるほど、すばらしい教えだと感心した。