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高収益にする決心

●ものすごく利益が出る会社にしよう。しかもそれは、一時的なものではなく、持続的なものでありたい。
当然ながらひとつの製品やサービスにはおのずとライフサイクル(寿命)がある。自社の製品やサービスが陳腐化し低収益になってしまう前に、新製品や新サービスを投入して絶えず新鮮で高付加価値なものを市場に提供しよう。

●そうした状態を作るのは簡単ではない。だが、それが出来ている会社はあらゆる産業、あらゆる地区に必ず存在する。それを見つけ出し、その理由を調べることはとても重要な社長の仕事だ。

・高収益=利益額が多いこと

と思っている人もいるようだが、そうではない。たとえば利益額日本一のトヨタやホンダ、NTT の利益率をみてみよう。利益率の尺度としては、売上高に占める営業利益の割合が良いだろう。

★トヨタの営業利益率
→ http://www.toyota.co.jp/jpn/investors/financial/financial_data.html
★ホンダの営業利益率
→ http://www.honda.co.jp/investors/financial_data/pl/
★NTT の営業利益率
→ http://www.ntt.co.jp/ir/fin/indicator.html

書式が異なるので見づらいが、おおむね営業利益率は 5%~10%である。堅調ではあるが、この数字では高収益といえない。

●「高収益」という言葉の定義は特に決まっていないが、この数字が安定して20%を超えていれば高収益といえるだろう。できれば、常時30%を超える状態を目指したいものだ。東証一部上場のキーエンスにいたっては50%近い営業利益率を弾き出しているのだから。

★キーエンス → http://www.keyence.co.jp/company/outline.html

以前の任天堂もすごい数字を出している。前期も決して悪いわけではないが、かなり鈍化した。

★任天堂 http://profile.yahoo.co.jp/consolidate/7974

●では、アップル(2009年9月期)とグーグル(2009年12月期)も同時にみてみよう。

→ http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100305/213172/

やや古いデータだが、どちらの会社も30%前後の営業利益率を誇っている。

●商品力や技術力に劣るごく普通の中小企業でも高収益企業は作れるものだろうか?

はい、それは充分可能である。いや、そうしなければならない。

昨年「がんばれ!社長」でもご紹介した岐阜のタニサケさんではゴキブリだんごを売って30%を超える営業利益率を計上しておられる。
また、かつての私のクライアント企業の中にも、岐阜のサッシ工事店や名古屋のポンプ修理業者、三重の広告代理店などでは 20%前後の営業利益率を出していた。普通の会社が普通ではない結果を残すのだ。
外から見たら分からないことが内部では起きている。

●それらの会社の共通点は、社長がそれを意図したから。
何気なく経営していたら、何気ない結果(低収益もしくは赤字)しか出なかったはずだ。

●狙って高収益をあげるための大切なポイントが幾つかある。

ひとつは、経営理念もしくは経営方針、またはそれに準じるものに、しっかりと「適正利潤を追求する」とか「高収益体質にする」と明記すること。

●目的や目標の中に収益のことがひとことも触れられていなければ、社員は収益を追求しない。
また、仕事の評価のなかにも業績貢献のことが明記されていない限り、業績にはこだわらない社員ができる。
したがって、利益(しかも圧倒的な高収益)を追求することの大切さをしっかりと明文化し、いつもそれを反復することが大切だ。
経営理念や方針が精神的なものや情緒的なものに偏りすぎると、会社の財務基盤を脆くすることがある。

●二つ目が予算化である。

数字予算の組み立て方法を間違うと、今年も来年も低収益の目標に挑むことになる。たしかに中期計画を拝見すれば、5年後には高収益になる予定だ。だが、今年は依然として低収益になる目標を掲げている会社がすごく多い。それを拒否し、今年から高収益になろう。

●手順はこうだ。

まず、今年の売上げ予定を決める。粗利益予定も決める。次に決めるのが、今年の売上対営業利益率目標である。仮にその数字を20%としよう。すると、粗利益率ー営業利益率=経費率となり、年間幾らの経費で運用しなければならないのか計算できる。この段階で時間をかけてシミュレーションし、予算を確定する。そのあとに事業仕分けだ。
予算を守るためには、何を削り、何を残すのかゼロベースで検討する。

●高収益企業の舞台裏では、こうした泥くさい格闘が必ずある。

こうした時間を惜しみ、漫然とお金や時間を使っていては、いつまでたっても高収益企業は作れない。一念発起、今期から高収益になると決心しよう。決心だけではなれないが、決心しないと始まらない。