なるべくつまらぬ話題で損をするのはよそうと、会話ネタでタブー視されていたのが「政治・宗教・野球」である。その三つに加えて、「家族」と「金」と「性」のネタも避けるべきだと教える人もいた。だが最近はそうした観念も薄らいできたようで、ソーシャルメディアなどで盛んに政治・宗教・野球・家族・金・性の話題を発信する人が増えている。
かく言う私もその片棒をかつぐ一人かもしれないが、政治の話題はあまりしない。時々、Facebook などをみていると、意外は人が意外なまでにハードな政治的発言をして驚かされることがある。政治家の批判や政府に対する批判も結構だが、同時に私たちは、政府の公共サービスを上手に活用する知恵もあわせもっていなければならない。なぜなら政府は国民や企業から税を徴収し、それを使ってサービスを提供する機関でもあるからだ。そのひとつがこちらのホームページで、中小企業や自営業者、起業家の成功を支援してくれている。それが国の税収増加につながるわけだから、あなたの成功を喜ぶのは国とても例外ではない。
政府広報オンライン
→ http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201311/2.html
このホームページによれば、一年間で開業起業されるのは約9万件である。一方、2006年には年間20,637件程度だった国内の休業・廃業・解散件数が2013年には28,943件に増えている。件数は7年で40%増加し、しかも年率5%増のペースで件数が増えているわけだ。(データは「東京商工リサーチ」)
また、倒産件数は近年10,000件/年~12,000件/年の間で推移しており、休・廃業・解散とあわせれば年間に4万人近い社長が経営ゲーム盤から退場している計算になる。国内企業数は約400万社なので、100人に1人の社長が毎年退場し、9万人の社長が新たに誕生している。純増は5万人となる。
日本も起業家が欧米並みに増えて、倒産や廃業などがなくなれば経済力も万々歳なのだろうが、そう簡単にはいかない。政府がいくらテコ入れしようが、景気の良し悪しなどの要因は倒産件数にあまり関係がないからである。その証拠にリーマンショックのあった2008年から2009年にかけてどの程度倒産や廃業が増えたかというと、実は前後の年と比べても目だった差異はない。
日本国内での経営ゲームのルールが毎年4万人の社長を退場させ、9万人の新社長を受け入れているということである。それが日本経済に必要な新陳代謝というわけだ。
私たちは、ディフェンシブな側面からみれば、倒産しない(しづらい)経営体質を作る必要がある。社長が数字や財務に強くなり、資金力や財務力の強い企業体質を作ることによって、あなたが淘汰される側に回るのを予防することができる。
オフェンシブな側面からみれば、うつろいやすい顧客ニーズを絶えず観察し、今日のお客を明日も明後日もがっちりホールドすることや、新しい顧客を作ることに俊敏な会社をつくらねばならない。
ディフェンスにもオフェンスにも長けたバランス感覚に富んだ経営者を目指していこう。それが日本で会社経営するための条件である。