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玉海力さん

●「本物の相撲取りと相撲をとる」。そんな Wish が昨日叶った。

銀座にオープンしたちゃんこ鍋の『玉海力』におじゃました。オーナーの河邉幸夫社長は前頭8枚目までいった元関取。右四つに組んでからの上手投げが得意技だった。

●河邉社長が「がんばれ!社長」をお読みになっているということで、昨年の秋、 Facebook の友達申請を頂戴した。
私は現役時代の玉海力関をよく覚えていたので、喜んで承認ボタンを押させていただいた。

●昨日は友人との新年会。私を含めて三人が店に到着すると、河邉社長が待っていて下さった。途中から同席され、いろんな興味深い話をうかがった後、「ちょっと四つに組ませて下さい」とお願いした。

●お互いスーツ姿だったが、ベルトあたりをぐっとつかんで引きつけあった。その瞬間、私の左半身が浮かび上がり、右膝がガクンと崩れそうになった。私のあごのあたりに玉海力関の右腕が隆起して、それによって75キロある私の身体が宙に浮かびそうになったのだ。

●「これだぁ」と思った。本物の相撲の一端を垣間見る思いだった。
中学二年のとき、父のすすめで相撲部屋での生活を始めた河邉さん。
その後、正式に入門してプロ力士としての稽古をはじめた。

●怪力で、柔道四段。格闘技には自信をもっていたが、相撲界に入って稽古をした瞬間、無事ではいられない恐怖感が全身をおそったという。
頭からぶつかっていく立ち合いのド迫力、つっぱりのスピードと威力。
力の強さと技のキレ、どれもが異次元だった。しかも稽古をつけてくれている相手は年格好があまり変わらない入門直後の相撲取り。

●もっと上位の十両、幕内、三役、大関、横綱となるとどれほどの強さなのか想像もつかない。
だが、河邉さんは精進した。相撲界ではじめてマウスピースを着用するなど工夫も重ねた。
当時の角界は、貴乃花、若乃花、曙、朝青龍が頭角をあらわす相撲人気の時代で、彼らと闘って勝ったこともある。とくに四つに組んでからの勝負強さには定評があって「玉怪力」とも呼ばれた。

●そんな玉海力さんが1996年、30歳の若さで現役を引退。この経歴とこの体では就職も難しかろうと、自分でビジネスを始めた。

玉海力剛(たまかいりき つよし)から河邉幸夫(かわべ ゆきお)になった。自宅からほど近い広尾に「どすこい酒場 ちゃんこ 玉海力」をオープンしたのだ。それが今では FC 店を含めて 5店舗をもつビジネスにまで育て上げた。

●「人が宝」と、新卒主義にこだわる。社員教育にも力を入れ、経営計画発表会も毎年開催してきた。怪力を捨て、大幅に減量した。昨年はホノルルマラソンを完走した。第二の人生はプロの経営者業。

●現役時代から食べることと飲むことが大好きだったそうで、美味いものしか食べたくない。当然、お客に出す料理も河邉社長が納得できるものしか出さない。刺身や焼き鳥、ちゃんこなど、いずれも絶品。
築地から近いせいもあって刺身の新鮮さにはうなり声が出た。
メインのちゃんこはスープ、具、ゆず胡椒がベストマッチでどれだけでも食べられる。残ったスープにチャンポン麺を入れて煮込む。3分経つと至福のパスタが完成した。これを食べない手はない!

●銀座五丁目のビル 8階から外を見おろすと、目の前に工事中の歌舞伎座が見えた。三越や銀座和光のビルもみえる。気分がよくなってビール、日本酒、焼酎、ワインなどを浴びるほど飲んだ。後半、どんな会話をしていたのか今も思い出せない。

●次の用事があると河邉社長が席を立たれたので、我々も会計をお願いした。この場所で、この料理がこれだけのボリューム頂戴できてお一人様わずか8,400円。忘れがたい新年会となった。
また行きたい。

★ちゃんこ「玉海力」銀座店→ http://www.tamakairiki.co.jp/ginza/