●「温泉教授」こと松田忠徳(まつだ ただのり)氏が選んだ全国の温泉番付で、みごと東の横綱に輝いたのが乳頭温泉(秋田)。
あきた新幹線「こまち」に乗って田沢湖駅で降りる。そこからバスを乗り継いで東京からジャスト4時間で秘湯・乳頭温泉に着く。
●だが今回、私にはもうひとつのお目当てがあった。それは五能線に乗ること。そのために弘前で前泊し、能代、秋田を経由して田沢湖に入る行程を選んだ。津軽海峡を右手に眺めながら列車のなかで津軽三味線のライブパフォーマンスを楽しむ。津軽情緒を満喫したところで秋田に入るという手順だ。
●弘前を出発したのが午前9時で、「乳頭温泉」にチェックインしたのが午後4時をまわっていた。途中、秋田の駅ビルでは稲庭うどんの昼食。
乳頭温泉では、わずか5室しかないランプの宿「本陣」に予約を取ってある。ここを予約するのは至難のワザなのだ。
囲炉裏の炭にはすでに火が入っていて、係の男性が天然イワナを串焼きにする準備をしてくれた。湯上がりに飲めるように「秘湯ビール」を注文する。
●乳頭温泉の湯量は豊富で、白湯、黒湯、中の湯、鶴の湯(混浴露天)があり、建物の中にも内湯が二つある。いずれも100%源泉かけ流しの温泉で硫黄に香りがする乳白色。見た目はすべて同じなのだが、泉質が異なるため、すべての湯につかることにした。一番人気は「鶴の湯」で、40度あるかないかのぬるめのため、長時間のんびり浸かっていられる。
●湯の四方はすべて山。当然ながら山菜の宝庫であり、湯上がりに囲炉裏端でいただく山菜料理と山の芋鍋、イワナ料理は格別。
開湯350年の歴史と大自然にいだかれながら味わう料理はいずれも素朴。
素材の味がしっかりしていて実に美味い。部屋には時計もテレビもない。あるのは、囲炉裏とランプとストーブと長靴だけ。
●秘湯に来ていることに満足し、何度も入浴をくり返しているうちに喉がいがらっぽくなってきた。マズイ、風邪をひいたかもしれない。
ゴホンゴホンと言いながら眠りについた。
翌朝は午前6時半に起きて入浴と朝食。そのあとも最後のだめ押しに、もう一回温泉につかって、9時半にチェックアウト。昼過ぎには仙台駅に到着した。
●「こりゃ、東北の復興も早いわ」と岩見社長(山形・アサヒ印刷)。
この日の午後、山形市内で講演があるため、わざわざ岩見社長が山形から車でお出迎えくださったのだ。
●たしかに仙台駅や東北自動車道の混雑ぶりをみるかぎり、東北の復興は早いと感じさせるものがある。仙台駅周辺はもともと震災と津波のダメージが軽めの地域であったとはいうものの、それでも被災地である。それなのに表面をみるかぎりそれを感じさせない活況ぶりはたのもしい。
●国土交通省では、東北の震災避難者の支援と観光復興をうながすため、東北自動車道を今月から来年3月まで無償化している。
あなたも被災地の応援や観光目的で東北旅を企画されてはいかがだろう。
●さて、20名にお集まりいただいた土曜日の「山形セミナー」は成功裏におわり、懇親会場へ移動した。
セミナーの途中、のどがむずがゆく咳がでる。それを察していただいのか、懇親会は早めに切り上げ22時就寝。
●日曜日は名古屋にもどる日だが、朝の1時間ほどを利用して岩見社長ご夫妻にシベール・ファクトリーパークにお連れいただいた。
シベールとは、いわずと知れたラスクの人気店。もともと個人経営の洋菓子店であったシベールがラスクで大ブレイクし、山形から一躍全国区の存在になった。業績は急伸し35億を突破。あれよあれよとジャスダック上場を果たした会社である。
●ラスク工場の見学もできる文化村がシベール・ファクトリーパーク。
創業経営者の熊谷 眞一氏とも交流があったという山形の作家・井上ひさし氏の蔵書の一部を公開した「遅筆堂文庫」も併設されていて、ひっきりなしに観光バスがここを訪れていた。
http://www.cybele.co.jp/factorypark/index.html?width=1000&height=760
●あっという間の東北の旅。また来年も東北に来る!