営業マン:「他に質問はございませんか。」
武沢:「そうだねぇ、この点はどうなっているの?」
営:「はい、それは・・・・という具合です。」
武:「なるほど。じゃ、こんな時にはどうするの?」
営:「それについては、・・・・です。」
武:「そうかぁ、なるほどね。」
営:「他には何か?」
武:「う~ん、・・・。とくに聞くことはもうないと思うけど、そろそろ大阪出張に出むく時間が来ちゃったよ。どうすりゃいい の?今日の結論はどうしておこうか?」
営:「またメールさせてもらいます。」
武:「わかりました。ではまたいずれ。」
こんな尻切れトンボの商談になることが時々ある。
商談は、顧客との一問一答の場ではない。
質問が尽きれば、つぎは自動的に契約が待っている、というわけではない。
商品の説明は上手なのだが契約できない営業マンがいるのは、商談というものと説明というものを混同しているからだ。
単なる商品説明会とは違い、「商談」とはクロージングという最終ゴールに向けた説得の芸術である。営業マンがすべてのプロセスのイニシアティブをとるべきであり、全体からみれば、商品説明とは「商談」のひとつの要素にすぎない。
まず、優秀な営業マンを定義しておこう。それは優れた実績をあげる人のことであるが、同時に次の四条件も満たしている人のはずだ。
1.普通の営業マンよりも短い商談回数と時間で売る
・他の人が数回通って売るところを彼は一回で売る。
・他の人が90分の商談で売るところを彼は45分で売る。
2.普通の営業マンよりも早くホンネ情報を聞き出せる
・他の人では決して聞けないホンネの悩みや夢を聞ける。
3.普通の営業マンよりも深く感謝される
・ホンネ情報をもとにした提案なので感動・感謝されやすい。
・知り合って日が浅いのに、“生涯の知己”のようになる。
4.普通の営業マンよりも多くの紹介をもらう
・可愛がられる。
・この営業マンと友人であることを誇りに思ってもらえる。
・その結果、定期的に人を紹介してもらえる。
それらの結果、普通の営業マンよりも高い成果、高い報酬、高い満足度で仕事をしている。
なぜそれが可能かといえば、ひとえに“準備”なのだ。綿密に準備された商談は、成熟したミュージカルを観るように心地よい。
商材によって異なるが、商談のために与えられる時間は、長くて一時間くらいだろう。短い時には、30分や15分の場合もある。その厳しい制約のなかで、つぎのような「商談五コマ漫画」をくり広げるのだ。
商談五コマ漫画
(1)オープニング
(2)インタビュー
(3)商品説明
(4)クロージングと反論処理
(5)契約と紹介獲得
あなたの商談水準を今以上にレベルアップするには、次の問いに答えることである。
1.全体の商談時間(○分)を上記の五コマで割りふると、それぞれ
のコマは何分になるのか(コマ割りを決める)
2.オープニング
初対面の人とは相手もこちらも緊張するもの。そこで、手短かつスムーズに商談に入るために用意できる、ちょっとした話や 資料は作れないか?(小物、小話、つかみ)
3.インタビュー
見込客が困っていることや望んでいることを、こちらから指摘するのでなく、直接見込客の口から発言してもらうには、どの ような呼び水や質問があればよいか?ここで聞き出すニーズや関心は、企業固有、経営者固有のものである。一般論ではな く、ここから先は固有の問題として話題をすすめる。 (質問技術と質問トークの開発)
4.商品説明
固有のニーズや悩みに対する回答として自社製品やサービスを利用するメリットを語る。単なる一般的な機能説明は最小限で 充分だ。他社事例を交えて語るなどして、イマジネーションを膨らませよう。この時間帯が。じつはいちばん危険でもある。 なぜなら、見込客に「買わない口実を与えてしまう」こともあるのだ。それは、あなたひとりが「どうです、すごいでし ょ!」と暴走して、しゃべりすぎたときが最も危険なのだ。
何度もこのステップを社内で練習し、見込客に参加してもらいながらこの時間帯を楽しく盛り上げる方法を考えよう。
5.クロージングと反論処理
見込客がよい反応をしながらも買わない理由は、
・金銭の問題(金額の高低。支払い能力に対する不安)
・使用の問題(当社に本当に必要なのか、使いこなせるのか)
・優先順位の問題(打つべき手のなかで、今のこの問題が本当に優先順位が高いのか。今、これにお金を投資することが 効果的なのかどうかの確信不足)
・短時間で意思決定して大丈夫か、見落としはないか、軽率でないか?
などがある。
たしかに、決断力不足の人もいる。欲しいのだが買うと言えない人たちだ。それに対しては、小さい同意を取りつければよいのだ。
<明日に続く>