某社、営業会議にて。
社長:「営業の木田部長、先月の売上結果を発表してくれたまえ。」
部長:「はい、木田でございます。先月の営業部門は、世間様の不況やお役所による公共工事抑制などの余波をモロにうけまし て、当部門といたしましても最大限の努力をしたつもりではありますが、いかんせん、この過酷な経営環境にはあがない きれず、前年同期比を22%ほど、目標比では27%ほど下回った次第でございます。」
社:「ふん、・・・。それで?」
部:「えっ、それで? 以上でございますが。」
社:「それで今後どうするのって聞いてるのよ。」
部:「あっ、はい。昨日も緊急部門会議を開きまして、部員に対策レポートを書かせ、ここに集めて参りました。各員が不退転の 決意で今後の販売強化に取り組む所存でありまして、今月以降、かならずや新たな展開がめばえてくるものと、ふか~く信 じております。」
社:「ふか~くか。今度は信じて良いのだろうね。」
部:「もちろんでございまして、社長に信じていただかなくては私どもとしても立つ瀬がなくなる次第でございまして・・。」
社:「疑っているわけじゃない。とにかく期待してるよ。我社が来年あるかないかは、営業にかかっているんだということを自覚 してほしい。」
実際、このような会議が多い。こうしたやりとりが、毎月のセレモニーであるかのようだ。
こうした言葉のやりとりを何時間交わしたところで事態は改善しない。優秀なビジネスマンは、失敗してもそれへの謝罪と反省が的確だ。そして、同じ類の誤りを二度くり返すことがない。それに対して、誤るのが下手くそで言葉数と自己弁護だけが多く、反省が甘い。ちょうど、この木田部長のような謝罪では、同じ過ちを何度かくり返すことになる。
最近では、「私は寝てないんだ」で有名になった雪印乳業の社長や、マスコミの前で号泣するしかなかった山一証券の社長、言い訳に終始して、最後はホンネ「利用者に実害はない」を言ってしまったみずほホールディングの社長など失敗そのもの以上に、謝罪の失敗が目につく。どうして人は謝罪が下手なのだろう?
そんな中、日経BP社のメールマガジン「Biztech Mail(ビズテックメール)」2002年8月20日号で、面白いコラムを見つけた。
「『謝罪』を成功させる3つの秘訣」として、作者の田中辰巳氏は次の主旨のことを述べている。
・そもそも『謝罪』は何のために行うのかを、正しく理解しておかなければならない。
・それは、「叱られたから、仕方なく謝る」というのではなく、「負の連鎖を断ち切るため」なのである。
・批判が批判を呼び、告発が告発を招くという、人間社会のドミノ倒し現象に楔(くさび)を打ち込むために行うのである。
・『謝罪』には踏むべきステップがあることを理解しておかなければならない。それは次の4つである。
(1)反省:顧みて批判的な評価をする
(2)後悔:やってしまったことを悔いる
(3)懺悔:罪悪を自覚して告白する
(4)贖罪:犠牲や代償を捧げることにより罪過をあがなう
しっかり反省をするためには、十分な調査や的確な原因分析が必要である。そして、自らを批判できる謙虚さが不可欠である。 ろくな調査もせずに謝ったり、「辞任は考えていない」などと強がるのは、避けなければならない。
詳しくは、同メールマガジンにゆずる。★Biztech Mail
http://biztech.nikkeibp.co.jp/biztech/mail/200208200400.shtml
この田中氏のアイデアを元に、「がんばれ社長!」流にアレンジし、ビジネスの現場で使えるようにするならば、次のようになるはずだ。
<明日に続く>