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問題予防のための問題

●なにか問題が起きたらその後処理にあたることはもちろんのこと、再発をきっちり防止する方法を考えよう。再発防止策はいろいろあるが、二度と同じ問題が起きないように「問題」を作っておくのも有効だ。たとえばこんな問題はどうだろう。

●問1.

あなたはある製薬メーカーの営業マン。ある日のこと、某大学病院のドクターと商談していた。自社が開発中の画期的治療薬を臨床テストしてもらうためである。
ドクターがトイレに立った。何気なく部屋を見回すと、他社の試薬も何箱か持ち込まれていた。ライバルメーカーが開発している薬品サンプルを持ち帰ることができれば我社は有利になるのは明らかだ。

さあ、あなたはどうする?

1.もちろん持ち帰る
2.多少はためらうが多分持ち帰る
3.多少はためらうが多分持ち帰らない
4.もちろん持ち帰らない
5.その他

●問2.

あなたはある会社の取締役。今日の取締役会で赤字続きだったA部門の閉鎖が決まった。その部門で働くスタッフ全員の解雇も内定し、その通知は1ヶ月後に正式発表される。それまでの間は一切口外してはならないと言われた。
その日の夜のこと、A部門で働く課長から相談を受けた。
「家を買いたいのだが、できれば住宅ローンの保証人になってもらえないか」という。

さあ、あなたはどうするか?

●問3.

あなたは量販店の店長。
新婚一年目で子供ができて幸せの絶頂なのだが、なにかと物入りが多くいつもお金に余裕がない。先月も数万円の赤字が出たと妻がこぼしていた。

そんなある日、仕入れ先の部長と喫茶店で商談していたら、「うちの新製品を仕入れてくれたら売上の5%をバックマージンで店長か奥様の個人口座に振り込ませていただく。金額はざっと50万円程度になると思うが受けとってほしい。何なら、足がつかないように商品券で手渡しすることも可能だ。今回だけのお願いである」と頭を下げられた。
たしかに商品券での授受ならなにも証拠が残らない。

さあ、あなたはどうする?

●問4.

長年あなたが可愛がってきた10歳年下の部下が不正していたことがわかった。会社に与えた損害額は30万円ほど。この事実を知っているのはいまのところあなたしかいない。

本人は最初こそ否定していたが、偽造領収書を発行した相手企業の裏は取れている。事態が表面化したら解雇は必至だろう。

さあ、あなたはどうする?

●「そんなの答えは決まっているでしょ」という問いもあれば、たしかに悩ましい問いもある。

これだけの質問情報では「正解」が一概に言えないのも確かだ。
しかし、こうした議論をしていくと明らかに認識違いしている部下が見つかるケースもある。

●「問1」の設問に対して、「そりゃ、持ち帰るでしょ」と答えた製薬メーカーの社員が実際にいたそうだ。
しかも、立派な経営理念が掲げられている会社でのことだ。それが研修中での発言だから事なきを得ているが実際に問題が起きてからでは遅い。

●「研修」のやり方はいろいろあるが、こうした問いを題材にしながらじっくり考え方の基本をすりあわせていくことも重要なのだ。

お金はかからないが時間はかかる。
考え方をすりあわせるための研修はそれで良いのだ思う。