未分類

TVスポンサーになるとしたら

●「よし、今日は家でのんびり映画を観よう」とTSUTAYAへ走った。
たしか千円札一枚で映画を4本借りられるはずだ。でも4本見ることは滅多にないので、『天国と地獄』1本だけを手にしてレジで手渡したら、「80円です」と言われた。
思わず「えっ?」と確認したら、「1本で80円です」ともう一度言われた。今月いっぱいキャンペーン中らしい。

●「じゃあ、もっと借ります」と引き返し、本気になって店内を物色してみたら、ケースの中味がごっそりなくなっているではないか。
まるで盗賊が押し入ったあとのようだ。どうやら連休中の80円キャンペーンは効果抜群のようで、新作・準新作の映画は大半が空箱だった。

●TSUTAYAでは幸い、過去の名作を発掘して売り出しているようで、いろんななつかしい映画や、知らなかった名作がたくさん見つかった。

そんな中で昨日は、『天国と地獄』(黒澤明、誘拐事件)『ジャガーノート』(英、客船爆破)、『オスロ国際空港』(英、ダブルハイジャック)、『情婦』(米、法廷ミステリー)の4本を借りてきて、さっそく順に3本観てしまった。

●『天国と地獄』は1963年の映画公開後、類似の誘拐事件が多発し、国会でも議論されたほどの問題作である。
この映画のオープニングで「ナショナル」の看板が映るのだが、それが松下電器の「ナショナル」のロゴと似ている。
これは、主人公・権藤金吾(三船敏郎)が役員をつとめるナショナル・シューズの看板なのだが、私はてっきり松下電器がスポンサーの映画なのかと思ったほど。実際には無関係のようだが、この当時スポンサーの冠がついたヒーロー・ヒロインはたくさん存在した。

●たとえば、日曜朝8時30分から放送されていた『ナショナルキッド』(東映テレビ)がある。1960年から61年にかけて8ヶ月だけ放送された番組で、当時6歳だった私は日曜日の朝、ふとんの中でこれを観るのが楽しみだった。
ナショナルキッドの武器・エロルヤ光線銃は、松下電器が売出した懐中電灯にそっくりだった。レーザー光線に似た光を発し、敵をしびれさせ、空飛ぶ円盤だって撃ち落とした。
当時の子どもは風呂敷をマントにして、松下の懐中電灯を光線銃にして友だちと戦った。この頃「ナショナル」が何を意味する言葉なのかは知らなかったが、かっこいい事の代名詞だった。

●ソニーも負けじと『ソニー号空飛ぶ冒険』という番組のスポンサーをやっている。1957年9月~1959年9月放映なので、『ナショナルキッド』より早い。
こちらはアメリカのテレビ映画で、パイロット二人組が怪我人の救助や犯罪者の追跡などで大活躍する内容で、ヘリコプターの名前が「ソニー号」だった。

●まだまだある。
白土三平原作の『忍者旋風』の主人公は、少年忍者・小太郎だ。しかしテレビ番組になったときは、提供がフジサワ薬品だったので『風のフジ丸』に改題された。
ハリスガム提供の『ハリスの旋風』の場合、学校の名前も「ハリス学園」だった。『てなもんや三度笠』では、藤田まことが「あたり前田のクラッカー」と前田製菓のお菓子をアピールした。
牛乳石鹸が提供した『シャボン玉ホリデー』では、お色気あふれる石鹸のコマーシャルも毎週の楽しみの一つだった。大塚製薬の『とんま天狗』は、主人公の大村崑が名を名乗るとき、「姓は尾呂内(おろない)名は南公(なんこう)」と毎回、オロナイン軟膏をアピールした。

●そういえば、アメリカだって子どもたちに野菜を食べさせたい親のエピソードが元になって『ポパイ』が作られた。
この番組のヒットでホウレン草の缶詰が製造されるようになったという。

ヒーロー・ヒロインの影響力は絶大だ。あなたの製品・商品・サービスを使うとどうなるか、子供番組のスポンサーになったつもりで物語を考えてみよう。