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老けるのが社長業

●5年ぶりにCさん(弁護士、35)と再会した。最近、法律事務所を開業したばかりで、いよいよ社長業が始まる。そのご挨拶に来られたのだ。

会うやいなや「あれ、武沢さん。かなり老けられましたね。ちゃんとアンチ・エイジングをやってくださいよ。いつまでも若くあるために」と言う。

●”何だよいきなり、無礼な” と思いながらも彼が悪い奴じゃないことを知っているので笑って黙っていた。

たしかにCさんの外見は20代にも見えるくらいなので、「あなたは何かしてるの?」と聞いてみた。
すると、「毎週酸素カプセルに入って身体の酸化防止をしていますよ。
あと食事にも気を配っていて・・・」と延々とアンチ・エイジングへのこだわりを聞かされた。忙しさにかまけず、身体の手入れをしなきゃいけないなと反省させられた。

●だが反論もしたい。
若々しいことが人生の大切な目的であるかのような考え方に私は反対だ。スカンクのすかしっ屁じゃないが、Cさんにこう言い返した。

「たしかに年齢以上に老けたくはないが、老けることそのものへの嫌悪は捨てねばならないよ。アンチ・エイジングよりウエル・エイジングの時代なんだから。いかに上手に老けていくかが勝負で、それは、見た目勝負から、内面勝負に主戦場が移っていくことだと思う」と。

●その点はCさんも同意してくれた。
だがさすが弁護士、簡単には議論に負けない。すぐにこう応酬した。

「武沢さん、僕は主戦場を移すつもりはない。見た目でも内面でも勝負できる人間になりたい。だから主戦場を移すのではなく拡大するものだと思う」

●「お好きにどうぞ。だが、一生懸命に仕事をしていたらそれだけで普通の二倍も三倍も老けるものなんだ。老けたくないのなら社長なんかやっとれんぞ!」と私。

「だからこそ、身体の手入れをしてほしいんです」とCさん。どうやらこの議論は平行線のような気がしたし、勝ち目が乏しいので和解を申し出た。

あなたのアンチ・エイジング観、もしくはウエル・エイジング観はいかがだろう?