未分類

動く5円玉

●関西でコーチ業を行うTさんがある高校のソフトボール部に頼まれて講演した。ふだんは企業相手にトレーニングしているTさんにとって、女子高生の前でどんな講演をすべきか考えあぐねたそうだ。そして思いついたのが昔の小ネタ。

●あなたも経験されたことがあると思うが、5円玉に糸を通してぶら下げる。そして、「左右にゆれる、左右にゆれる、大きくゆれる、左右にゆれる」と口に出す。すると本当にゆれる、というアレをやった。

●この日、女子高生の多くが本当に左右にゆれたらしい。
左右だけでなく、「前後にゆれる」でも良いし「ま~るくゆれる」でも良い。ポイントは声に出して何度も唱えること。
女子高生たちは大いに盛り上がり、目標を声に出して唱えることの大切さを学んでくれたそうだ。

●そう言えばTさんは、自宅でかいわれ大根を使ってこんな言葉の実験もしている。水に浸した脱脂綿の上にかいわれ大根の種を置く。

それを二皿用意し、一つの皿には「ありがとう。今日も可愛いね。愛してるよ。」などと声をかける。もう一つの皿には「バカヤロー。お前なんかみたくもない!」と罵声を浴びせる。
それを何日かくり返していくと、愛の皿からはすくすくと芽が伸び、罵声の皿からは弱々しく小さな芽しかはえず、やがて枯れてしまったという。

●日頃から明るい言葉をつかおう。希望に満ちた将来を暗示する言葉を使うことが心だけでなく身体にも影響を与えるとTさん。

先週末の大阪イベントでもTさんの5円玉実演が見られた。場内にいた人の過半数が言葉どおりにゆれた。
Tさんは聴衆に問うた。「なぜゆれたのでしょうか?」と。

●聴衆は「念力」とか「言霊(ことだま)」などと答えた。
だが、Tさんはそれを否定した。たしかに念力の持ち主はいる。だが、この会場にそんな人ばかりがいるとは思えない。5円玉が動いた理由はあなたが動かしたからだと。
「意識的に動かしてはいけない」と言われていても、あなたの言葉が神経に伝わり、身体の筋肉に信号を送っているから動く。
つまり、「左右にゆれる」という言葉を脳が聞き、あなたの身体がそれに反応しているのだと。

●私は昔から疑り深いたちで、一瞬左右に動きかけた5円を見て、「そんなはずがない」とあえて制止させるような動きを取るからジッとしていた。

もっと素直にならねばと思った。