●ある時期、海釣りに熱中していた私にとって「リョービ」といえば、釣り具である。ちょうどそのころ、「リョービ」ブランドのゴルフクラブがあるのも知っていた。だが、いまリョービの釣り具もゴルフクラブもない。勝てる分野に事業領域を絞り込んだようだ。
●リョービ株式会社。
・資本金 18,472百万円
・社員数:リョービ/2,130名、リョービグループ/5,665名
・主要商品:ダイカスト製品、印刷機器(オフセット印刷機、印刷周辺機器等)、パワーツール(電動工具、園芸用機器等)、建築用品(ドアクローザ、ヒンジ、建築金物等)
昭和18年に株式会社菱備製作所として広島でスタートした会社は、昭和36年に東証上場を果たした。
★リョービ株式会社 → http://www.ryobi-group.co.jp/index.html
●先週土曜日、そのリョービさんの総会で特別講演をさせていただいた。
東京・品川プリンスホテルのプリンスホールで行われた「2010年度リョービ68/75会総会」には、日本全国からリョービの機械を使っている印刷会社の経営者150名が参加した。
主催のリョービならびにリョービイマジクスの会長、社長も列席し、総会の冒頭であいさつされた。その後、私が壇上に登る。与えられた演題は「元気がでる中小企業経営の勘所」。
●一流ホテルの一流ホールという場所がどうにも落ち着かないが、とにかく自己紹介し、「がんばれ社長!」を知っている人がどれだけいるか聞いてみたら、一人だけだった。
そのあたりで、普段はあまりかかない汗が額から吹き出てきた。
●今年3月にリョービのY課長から講演依頼を受けたとき、「なぜ私なのですか?」と尋ねてみた。するとこんな答えが返ってきた。
「昨年までの講師には、著名な評論家や大手コンサルタント会社の社長、ベストセラー作家などにご講演をお願いしてきました。いずれも格調高いすばらしいお話でした。今回は業界の情勢が一段と厳しさを増していますので、総論的なお話ではなく、すぐにでも経営改善につながるような実務的なお話をしてくださる方ということで、2~3人の候補者の中から武沢さんにお願いした次第です」
●「すぐに役立つ実務的な話」というのが依頼だったので、75分間で次の三点について申しあげた。
1.経営者自身の経営力を高めることが自社発展の鍵をにぎる
だから、「めざせ紅帯!経営力チェック」をつかって、あなた自身の経営力をチェックし、改善テーマを見つけよう。
2.Wish Listを書き尽くそう。そして社員からもそれを集め、全員のWish Listを実現するための「経営マニフェスト」を作ろう。
3.「経営マニフェスト」の中核は、理念の成文化と顧客創造計画作りにある。それぞれのやり方と事例をご紹介する。
以上のことを通して、元気・やる気は自らの責任において高めていくことが社長の役割である。
●第二部の懇親会でリョービの浦上浩会長が「武沢さん、あと1点足りませんでした」とビールを注いで下さった。
「恐縮です」と言いながら浦上会長の「めざせ紅帯」の採点シートを拝見したら、あと1点で「紅帯」だった。
いままで「紅帯」を取った経営者は香港在住の男性社長ただ一人だけ。
いかに「紅帯」を取ることが困難なのか私は知っているので「さすが一部上場企業の会長さんですね、よろしければ記念に【Wish List】の原本をご贈呈します」と申しあげたら「是非、読んでみたい」とのことだった。私の『使える!社長の四字熟語100選 経営に効く!』はすでにお渡ししてある。
●さて、この企画を私に持ち込んでくれたY課長とのご縁について触れておこう。
それは昨秋のこと、ある上場企業の系列会社が主催するイベントで講演することになった。しかし集客がうまくいかなかったようで、会場に到着したら、8名しか集まっていなかった。
「申し訳ありません」と担当者は平身低頭しておられたが、私としては人数は関係ない。与えられた時間、与えられたテーマで精一杯やるだけだ。場内に100人いるつもりで思いきってやった。
●それから5か月経ったある日、突然、メールがきた。「講演してくれないか」という。
差出人はその8人の一人だった。その方がリョービイマジクスのY課長であり、今回のイベントの責任者だった。
どこで何がどうつながっていくか分からない。いたるところで最善を尽くしていこう。