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人が集まらない

●「お宅のメルマガに広告を出稿したらどれだけアクセスが集まるのか?あ、それとセミナー集客に関する他社実績も教えてほしい」と電話がかかってきた。

スタッフが一般的なクリック率をお教えしたが、電話の向こうでまだいろいろ聞いているようだ。汗をふきながらスタッフがこう答えている。

「広告でセミナーに何人が集まるか?というところまでは一概に申しあげることはできません。内容や場所にもよりますし・・」
「え?目安の人数ですか?それもまったく分かりません」
「え?他社さんの集客人数ですか?それは広告主様からお聞きしておりませんので・・・」

●はじめてメルマガに広告を出そうという訳だから真剣になるのは分かるが、最後の判断は「テストしてみる」という踏ん切りしかない。

スタッフが可愛そうになったので、私がその電話を引きうけた。

●電話の向こうは50代の男性経営者だった。
「セミナーに人を集めたい」という。仮にA社としておく。事情を聞くと、次のような内容だった。

A社は四国・中国地方で経営コンサルティングをしている。特に事業再生に強く、不振に陥った中小零細企業をたくさん再生してきた実績がある。こうした支援サービスのニーズは強いのだが、肝心の中小企業経営者に認知度がとぼしく、こんな支援サービスがあることを知らない経営者も少なくない。

●そこでA社では、事業再生の認知度と自社の知名度向上を目的としたセミナーを開催してきた。今年に入ってから毎月開催してきたという。当初は受講料を無料にしようと思ったが、かえって怪しまれると思い、テキスト代として5,000円にしている。

セミナーの概略は次の通り。

・テーマ:経営者のための事業再生講座(2時間)
・対象者:経営者、財務・経理部門の責任者
・内容:たくさんの再生事例の紹介を通して、上手な再生法を学ぶ
・A社の狙い:見込客の発見⇒その後、顧問先獲得につなげたい
・開催:月一回程度(中国地方のある町で)
・費用:5,000円
・集客目標:毎回30人

●「なかなかいいセミナーじゃないですか」と申しあげたのだが、過去の平均集客数は10名前後しかないという。
「セミナー内容の濃さからみても、徐々に集客数は伸びていってしかるべきなのに、一向に増えない。だから今回は武沢さんにお願いして、メルマガに広告を打ってみようと思っている」という。

●「じゃあ、すぐにやりましょう」と言いながらも、念のためにいくつか質問をしてみた。その答えをきいて私は、「もう少しよく検討されてからメルマガ広告を考えて下さい」と意見を変更した。

A社のセミナーに人が集まらないのには理由がある。ホームページやチラシをみて興味をもったとしても、アクションを起こしたいと思わせる条件が整っていないのだ。

1.セミナー会場の問題
都会の駅前や中心街ならいざ知らず、へんぴな町の分かりづらい場所にある公共施設を使っている。私も知らない駅名だった。
その駅の近くにある会場が安くて借りやすいのでA社も昔からこの会場を使い続けているようだ。
より分かりやすく、より集まりやすい会場にするという意思が欠けていたようだ。

2.ホームページの問題
集客チラシをPDFファイルにしてそのままサーバーにアップしてある。メールフォームはなく、申込みしたいときは主催者にメールを送るか、直接電話をかけることになっている。残念なシステムと言わざるを得ない。やはり専用ホームページに申込用メールフォームは必須だと思う。

3.選択肢が一つしかない
日程の問題などでセミナーに行けない人を拾えていない。今回のセミナーには参加できないが、次回セミナーの先行告知を受けたい人や、メルマガ購読、資料請求、テキストの販売や無料経営相談など、ホームページで多様なメニューを取りそろえておく必要がある。セミナーチラシだけのホームページではそれが出来ていない。

●この三つの問題を解決してから改めて「がんばれ社長!」に広告を申し込んではどうですか、と提案した。
あれから一ヶ月になる。そろそろ連絡がきてもおかしくないが・・。