未分類

企業長寿国ニッポン

●世界屈指の長寿国として知られる日本だが、企業の寿命だって負けてはいない。日本経済新聞が2008年4月に行った特集「200年企業」で創業200年以上の企業が幾つあるかを国別で比較した結果、堂々の世界第一位だったのだ。

一位 日本(3,113社)
二位 ドイツ(1,500社超)
三位 フランス(300社超)

これは誇るべきことではなかろうか。

●最も社歴が古い「金剛組」(大阪、建築)は、西暦578年創業だから1432周年を迎えている。

つまり、今年遷都1300周年を祝っている平城京の奈良よりも歴史が古く、大化の改新のそのまた前の聖徳太子の時代に創業しているわけだ。
太子によって百済の国から招かれた宮大工・初代金剛重光が四天王寺を建立したのが事業のはじまり。

●705年(飛鳥時代)創業の山梨県「西山温泉慶雲館」は、武田信玄や徳川家康の「隠し湯」ともいわれている。
1600年頃に活躍した信玄や家康からみても「慶雲館」はすでに、すごい老舗だったわけだ。

●私も一度お世話になったことがある有馬温泉(兵庫県)の宿「陶泉 御所坊」は鎌倉幕府が成立する前年の1191年創業。

また、妻の実家がある愛知県岡崎市の老舗「まるや八丁味噌」さんは1337年創業。太田弥治右エ門が八帖町で味噌製造をはじめたのが始まりとされる。

●今から410年前の1600年に関ヶ原の合戦があり、東軍の徳川家康が勝った。
合戦の3年後の1603年に江戸幕府がひらかれ、江戸時代が始まったが、そのころに「養命酒製造」が設立されている(1602年)。

また1610年には「竹中工務店」が設立された。信長の元家臣であった竹中藤兵衛正高が名古屋で神社仏閣の造営を業として創業したのが始まりで、会社創立は14代竹中藤右衛門が神戸に進出した1899年とされる。

●江戸時代が始まってすぐの1611年、名古屋市中区で織田家の小姓の子孫であった伊藤蘭丸祐道が呉服小間物商をスタートさせた。
私の会社は中区丸の内呉服町通りにあるが、まさしくその通り沿いで呉服商を開店したのが今日の「松坂屋」の前身なのだ。

●中国「福」州の「砂」糖などを扱うことから「福砂屋」と名づけたのが「カステラ本家福砂屋」。
ポルトガル人より製造法を伝授されて長崎で創業したのが1624年のこと。また、「赤福」が伊勢神宮参拝者向けに赤福餅の販売を始めたのが1707年。

●その他にも、私たちに身近な老舗企業はたくさんある。

山内容堂がこよなく愛した酒の「剣菱」、京都出身だが東京を代表する和菓子ブランドになった「虎屋」、蚊帳を商って創業したふとんの「西川産業」、「東急百貨店」、「三越」、「大丸」、「そごう」、「イオン」、「高島屋」なども江戸時代の創業。
名古屋の鉄鋼商社「岡谷鋼機」、「武田薬品工業」、「ミツカン」、「新日本製鐵」や「伊藤忠」も歴史が古い。

●これらの会社に共通しているのは、単に生きながらえようとしてきたのではないこと。幾度となく危機を乗り越え、経営革新を行ってきたはずだ。また、何人かの中興の祖も生んできた。

●数百年、千年の古木には自然遺産的価値があるが、200年続く老舗企業であるということそのものには、それほどの価値がない。しかし、200年続く今なお若い会社であることは国宝的価値がある。なぜなら、それだけの自己革新力が備わっているからで、そうした会社を目指すのもひとつのビジョンになり得るだろう。