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桶屋理論

●かつて「アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪をひく」と言われた時期があるが、最近は「中国がくしゃみをすればアメリカが風邪をひく」と言うらしい。こうした表現は、両者の相関関係をあらわすものとして面白い。

●ちょっと意味は異なるが、「バタフライ効果」というものもある。
通常なら無視してしまうような極めて小さな差が、やがては無視できない大きな現象になることを言う。たとえば、「北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークで嵐が起こる」や、「アマゾンを舞う1匹の蝶の羽ばたきが、遠く離れたシカゴに大雨を降らせる」という具合。

●日本で有名なのは「風が吹けば桶屋が儲かる」。これをウィキペディアで調べるとこう解説されている。

・大風で土ぼこりが立つ
・土ぼこりが目に入って、盲人が増える
・盲人は三味線を買う(当時、三味線は盲人が弾いた)
・三味線に使う猫皮が必要になり、ネコが殺される
・ネコが減ればネズミが増える
・ネズミは桶を囓る
・桶の需要が増え桶屋が儲かる

●実際にこうしたことが起きていたのかどうか分からない。たぶん起きていなかったと思うが、理屈はたしかに通っている。仮にこれを、「桶屋理論」と名づけておこう。
もし本当に、風が吹かなければ桶屋は儲からないとしたら、桶屋は自然現象任せの経営になっている。風が吹けば儲かるが、吹かなければ儲からないという状態では経営は安定しない。だから、桶屋の社長は無風でも儲かる仕組みを考える必要がある。

●同様に私たちは、自社が儲かる理由をあらゆる条件のもとで説明できなくてはならない。
好況が来ても売れて、不況が来ても売れる。売れる理由は異なれど、どっちにしても売れる。雨が降ろうが槍が降ってこようが売れる。

●好況が来ても不況が来ても利益率はまったく変わらない。
粗利益率も経費率も変えないから経常利益率はいつも高原状態をキープしている。
要するにそれは、経営環境にあわせてカメレオンのように社内を変える芸当が必要で、そのことを「経営とは環境適応業」と言う。

●別の言葉でいえば、全天候型経営。雨の日も風の日も、雪の日も台風の日も快晴の日も儲かる、という状態をめざすのだ。
そのために知恵を絞るのが社長の仕事であり、知恵の絞り方として、「桶屋理論」を使ってみるのも一興だろう。

・好況(不況)が来れば企業は○○する
・企業が○○すれば、△△となる
・△△になれば××する
・××すれば当社が儲かる

という具合に、あらゆる経営環境のなかでも自社は儲かるのが常識にしておこう。相撲や野球と一緒で、勝ちパターンがたくさんあるチームが優勝するのだ。