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八正道

●最近、酒場である経営者に「八正道」(はっしょうどう)を説いたところ、「・・・、う~ん、むずかしいもんですね」と眉間にしわを寄せ、浮かぬ表情をしていた。
それ以上「八正道」を語る気がなくなったので、今度はジャズタクシーの話をしたら大いに盛り上がった。
宗教めいた話をするには時と場所を選ばねば、お互い何も得られないことを再確認した次第。

●でもあえて今日は、中部国際空港でバンコク行きのフライトを待つ間、その「八正道」について書かせていただこうと思う。どうか眉間の縦じわにご注意願いつつ、お読みいただきたい。

●苦しみ(生老病死)から解放されるために、王国の王子の立場を捨て、妻子も捨てて出家したブッダは、ブッダガヤの地でついに苦しみの根本原因を究明した。
それは十二縁起によるもので、なぜ?なぜ?を12回くり返して掘り下げた究極の原因、「無明」によるものだと悟る。無明、つまり貪・瞋・癡(とんじんち)の我欲を満たそうと思っているからその通りにならないことが苦しみの原因になっていると悟った。

●それを初転法輪(しょてんぽうりん、はじめての伝導)で、分かりやすく人に説くために使ったロジックが四諦(苦集滅道、くうしゅうめつどう)である。

●苦集滅道とはなにか。
「苦」しみには「集」(原因)があり、それを「滅」した悟りの境地にいたるには、日々の生活で「道」(修行)が必要であると教えたのだ。それを四諦(苦集滅道)という。

その「道諦」として説かれた、悟りにいたる八つの実践活動が「八正道」なのである。

●宇宙のルールである「縁」vs人間の欲望「貪・瞋・癡」いつも勝つのは宇宙を支配しているルール「縁」である。人間がもっている我欲の存在が悪なのではない。我欲によって思い通りにならないものまで思い通りにしようとするところから苦が生じていることに気づかねばならないのだ。
我欲中心に生きるのではなく、宇宙のルール「縁」によって生きる方法が「八正道」というわけである。

●まず「八正道」の項目を列記してみよう。

1.正見(しょうけん):正しい見方

2.正思(しょうし):正しい考え方

3.正語(しょうご):正しい言葉

4.正業(しょうごう):正しい行為

5.正命(しょうみょう):正しい生活

6.正精進(しょうしょうじん):正しい努力

7.正念(しょうねん):正しい念慮

8.正定(しょうじょう):正しい瞑想

反対に、人間の「十悪業」というものもある。

1.「貪」(とん、むさぼりのこころ)
2.「瞋」(じん、怒りのこころ)
3.「癡」(ち、道理をわきまえない愚かさとグチのこころ)
4.「邪淫」(じゃいん、肉欲だけで異性と交わること)
5.「殺生」(せっしょう、生き物を殺すこと、残酷なこと)
6.「偸盗」(ちゅうとう、人のものを無断で盗むこと)
7.「妄語」(もうご、つくり話・うそ・大げさ)
8.「綺語」(きご、真実にそむいて巧みに飾り立てたことば)
9.「悪口」(あっこう、人を悪く言うこと)
10.「両舌」(りょうぜつ、その場その場で調子のよいことを言い、
矛盾やウソになること、二枚舌)

●「十悪業」、そんなひどいことを私はしていないと思い込んでいたが、思い通りにならないことのすべては、自分の関わり方に原因がある。
それは「十悪業」のどれかをやっているか、もしくは「八正道」とは違う考え方や生き方をしているから。では、「八正道」の中味をもっとつっこんで考えてみよう。

<明日につづく>