●「がんばれ!」と励まされたのを怒って乱暴する相撲取りがいるそうだが、本当にそんなことでキレるものだろうか?
もちろん乱暴は許されないことだが、「がんばれ!」と励ました人に力士の反感を買うような何かがあったのではないか。
本来、励ましを受けると無条件に心に響くものだし、ましてや、励ましてくれた相手が・・・。
●渡辺知子一座コンサートの魅力のひとつが楽曲にある。ほとんどがオリジナル曲であり、どれも素晴らしい曲ばかりなのだ。
なかでも一番人気はこの曲だと思う。
題名「きのう きょう あした」
きのうよりもきょう きょうよりもあした
きのうよりもきょう きょうよりもあした
今日は 昨日の 悲しみを 思い出に
そして 明日を 輝く日にしてくれる
昨日がいい日だったというために
明日に夢をかなえるために
きのうよりもきょう きょうよりもあした
きのうよりもきょう きょうよりもあした
●作曲は渡辺知子さん。
そして、この明るい詩を紡ぎだしたのは大分県出身の進行性筋ジストロフィー症(ディシャンヌ型)患者の故・大石剛さん。難病の病床にありながら、人を励まそうとこんなに明るい詩が創れるなんて。
大石さんは小学校就学前に、兄の豪(つよし)さんと二人同時に進行性筋ジストロフィー症を発病。
国立療養所へ兄と共に入院。22才のとき、兄が他界。
その後、詩・画に打ち込み、詩集「風のように」~僕たちは生きている~ を発行。
27才のとき、郷里の玖珠町公民館にて、「きのう、きょう、あした」のお披露目コンサートが、多くの町民も参加して盛大に開かれた。
28才、永眠。そんな大石さんが詩集にこんな文を書いている。
・・・僕とおんなじ世界で生きてるみんなへ
あなたがどんな人で、この本を読んでどんな事を想うのかとても気がかりです。
求めあう気持ちがあれば、人と人は何かを越えて必ずわかりあえるものだから僕の想いもきっとあなたに届くと、力になれると信じています。
あなたがこの本を手にした事はきっと何かの縁かもしれません。出来るならあなたの想いを僕に伝えて下さい。広い空の下、いっしょに生きていきましょう。あなたのしあわせを願ってます。
大石 剛
・・・
●本来なら人から励まされなければならない状況でも人を励まそうとする人間って、なんて強くて健気なんだろう。
真剣に今を生きている人、生きた人の言葉や生き様は私たちの心をゆさぶってやまない。
●1月下旬に発売された『心に響く小さな5つの物語』(藤尾秀昭 著、片岡鶴太郎 画、致知出版社)は、5つの感動エピソード集。
昨夜読んで、強く心を打たれた。
致知出版社の社長をつとめられる藤尾秀昭さんの孤高の峰のようにそそり立つ文章と、技巧を廃した鶴太郎さんの画をあわせて味わってみよう。
大切なあの人に読ませてあげたくなる一冊。
★『心に響く小さな5つの物語』 http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=2374