★テーマ別★

アニュアル・レポート

●金融市場からお金を集める企業では、「アニュアル・レポート」を発行する必要がある。このアニュアル・レポート(annual report、年次報告書のこと)で決算内容を分析し、今後どのような手を打とうとしているのかをきっちり説明するのだ。
その内容いかんでは、株主の支持が得られなかったり、下手をすると経営陣が更迭されることもあるので、真剣勝負。

●だが、幸か不幸か中小企業のオーナー経営になると、アニュアル・レポートを作らずに終わる。年に一度の株主総会も、書類だけの形式開催で済ませてしまうことが多い。
だが、果たしてこれからもそのままで良いのだろうか。私は中小企業でも個人企業でも、前期決算の総括と経営の現状をきっちりふり返っておく必要があると思っている。

●世界一のお金持ちウォーレン・バフェット氏(79)率いる投資会社バークシャー・ハザウェイのアニュアル・レポートは有名だ。
また、それとは別に届く「株主への手紙」や、株主総会そのものもユーモアに富んで非常に楽しいと聞く。
経営陣と株主が相互に信頼しあっている背景には、年率25%超という驚くべきリターンを25年間にわたって株主に提供してきた実績があるからだが、アニュアル・レポートの内容の誠実さも欠かせない要素。

●昨年、オマハで行われた株主総会には世界から3万人を超す株主が集まった。
「地球温暖化対策に、みんなでデイリークイーンのアイスを食べよう」というジョークがあるなど、同社投資先のCM紹介や展示即売も行われたと聞く。

●ひな壇に座るウォーレン・バフェット他の役員。取締役のビル・ゲイツ氏の顔もそこにある。
6時間ほどにもおよぶ株主とのQ&Aの最中にも経営陣は、チェリーコークを飲みながら、シーズのキャンディーをほおばる。これらは、すべて同社の投資先の製品。
『来年も来てね。いっぱい友達連れて』というバフェットの締めで終わる同社の株主総会はなんとも異色。

●バフェット氏自身が年間に数百冊のアニュアル・レポートを読むという。だから、氏のレポートが良くできているのも当然なのかもしれない。

・バークシャー・ハザウェイのアニュアル・レポート(英語)
http://www.berkshirehathaway.com/reports.html
(もちろん、こちらには年次と四半期とがある)

●ちなみに、アニュアル・レポートと有価証券報告書や決算短信とは別物だと考えよう。経営者の息づかいが聞こえてくるようなワクワク感と緊張感が出ているカラフルなのがアニュアル・レポートだ。

もちろんネットからダウンロードして読むことができる。おすすめは、いずれも有名企業ばかりだが、投資家たちからも評価が高いこちらの企業。

・パナソニック http://panasonic.co.jp/ir/reference/annual/
・任天堂 http://www.nintendo.co.jp/ir/library/annual/index.html
・GE(見栄えは地味だが)
http://www.ge.com/jp/company/ir/annualreport.html

●中小企業では上場企業ほど手間ひまかけたアニュアル・レポートは不要だと思うが、A4用紙1~2枚でも良いので経営成果の総括をした上で今期以降の経営計画を語るようにしてみよう。

なにより、経営陣が成長するはずである。