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キャバクラ問題を考える

●サラリーマンのころ自分の殻をやぶってスケールの大きな人間になりたいと思い、『大物になる本』という本を読んでいた。
そこへ、一つ年上のF先輩がやってきて私の本を取りあげ、こう言った。

「武沢、大物になる本を読んで大物になったヤツはいないぞ。そもそも、そんな本を読んでる時点ですでに自分は小物であると認めたことになるんだ」。

●”そんなものかなぁ”と思っていたら、F先輩も『女性にモテる本』を読んでいた。

「あれ?先輩、そんな本を読んで実際にもてるようになる人がいるんですか?自分はモテないと認めるんですか」と私が聞くと、「オレは、すでに充分モテている。お前とは違うんだ。ただ、なぜオレが女にもてるのかを自分でも知りたくて読んでいる」と苦しい弁明をしていたが、先輩はその後ずっと彼女ができなかった。

●人に影響されやすい私は、大物になるのをあきらめて、女性にモテようと思った。次から次にモテ本を買ってきて読みあさったが、いずれも結構おもしろかった。

●だが結局、二人ともかなり晩婚だった。
ということは、そうした本を読んでもモテる訳ではないということだ。だから読むな、というわけでもない。
著者と出版社の名誉のために申し添えれば、モテ本を読むことによって女性に立ち向かう術を覚えた気になれる。その結果、思いきって相手にとびこむ勇気が出ることだけは間違いないようだ。

●モテ本を読むこちら側の心構えも大切だ。
世の女性全体からモテようとがんばることなど意味がない。たった一人で良いので、特別な人から深く愛されることが目的なんだと分かっていないと、モテ本のゴールが単なるプレイボーイになってしまう。
プレイボーイではモテないのだ。

●プレイボーイといえば、今朝の新聞で民主党議員のスキャンダルが報じられていた。
キャバクラで会合をもち、その費用を経費で落としていたという主旨のもの。報道によれば県連の幹部と一緒に5万円から9万円程度の支出があったという。
これはたしかにお粗末な話だが、何がお粗末かをよく整理しておかないと、なんとなく男性として行ってはならぬ場所へ行ったかのように受け取られかねない。

●今回のキャバクラ問題の本質は、政治家がキャバクラへ行ったことではない。その費用を経費で落としたことが問題なのだ。個人の楽しみを税金や献金で支払ったことが問題なのだ。

●政治家が料亭やレストランで会合することは当然の話。
誰かと政治の話をする場所としてそれらはふさわしいし、そこでの費用は経費として認められるのも理解できる。
ただ、もしも料亭の余興で芸者を呼んだとしたら、その部分の費用は私費とすべきだろう。

●今回は料亭ではなく、キャバクラである。
たぶんどこかで会談し、その二次会で入店したはず。まさかキャバクラで政治の話をするわけがないし、そんな雰囲気の中で国政や県政を論ずべきではない。だからキャバクラは私費でなければならない、ということだ。では(高級)クラブやラウンジやスナックはどうなのか。
それも私費であって当然だろう。

●私は現職の大臣がキャバクラやクラブが大好きだったとしても結構だと思っている。
同様に、世の社長が「大物になりたい」とか、「異性からモテたい」と料亭やキャバクラでお金を落とすことも大いに健全なことだと思う。

ただ、そのために行動する時間とお金については、公私混同があってはならないし、陰で誰かを悲しませるようなことがあってもならない。
一人で行こうが、誰かと一緒に行こうが、そこでどんな話をしたにせよ、異性にサービスを受ける場所は必ず自費にしよう。