●若い女性に戦国武将たちがブームになっているらしい。武将フィギアを私も何体か持っているが、たしかにどの武将もかっこいい。
その理由のひとつは、甲冑姿が個性的なところ。特に兜(かぶと)には独特のアイデンティティが感じられてたまらなく良い。
●もうひとつ個性があるのが旗指物(はたさしもの)。
たとえば武田信玄には「武田菱」と「風林火山」、毘沙門天を信仰した上杉謙信は「毘」、織田信長は「織田木瓜」、徳川家康は「三葉葵」か「厭離穢土欣求浄土」、井伊直政は「総赤」、真田家は「六文銭」、石田三成は「大一大吉大万」という具合に、それぞれの武将の兵隊たちがその旗を見ただけで鼓舞されるようなデザインメッセージがあった。
●おなじように個性ある人、個性ある会社には旗指物に似たメッセージがある。
「我社(私)は何者であって、今何をしていて、これから先何を目指しているのか」
ということが相手に分かりやすい会社や個人になろう。
●「実は自分でもそれが分かりません」
という言葉が許されるのは非経営者の、しかも40才まで。
41才以上であるか、もしくは経営者であるのなら「分かりません」はもう許されない。
●温泉や石油は地面から自然にわき出るものだが、経営理念は自然にわき出てこない。
「今から作ろう」と思って作るものである。
私が主催している経営講座などで「経営理念」の成文化作業を小一時間ほど取ると、受講者の95%はその場で経営理念が完成する。
もちろんその前に、事例解説などを60分ほどお話ししているとは言うものの、ほとんどの人がその場ですぐに経営理念を作ることができる。
今まで膨大な時間を費やしても完成してこなかった経営理念がすぐにできてしまうので受講者は「こんなはずはない」という顔で呆然としている。
●がんばれ社長!流の経営理念の作り方はこうだ。
1.好きな経営理念を集める。
好きな会社の経営理念でも良いし、経営理念が素晴らしいと思う会社のものでもよい。少なくとも10社分を集める。
2.その10社の経営理念のどこが気に入ったかを書く。
ボキャブラリーなのか、まとめ方なのか、文体なのか、それとも内容か、リズムか。
気に入った理由が明確になれば、それを取り入れるように工夫する。
3.経営理念策定マンダラを作る
3×3の9マスのマンダラチャートを使う。ど真ん中に経営理念を書くのだが、それは一番最後に記入する。まずは周囲の8マスの質問を埋めていく。
その質問はこうだ。
・この会社を経営しているのはなぜか
・将来どのような会社を目指しているか
・好きな会社はどこか。その理由は
・社員や仲間に対する期待や責任はなにか
・誰を一番喜ばせたいか、二番、三番は誰か
・一番喜ばせたい相手を喜ばすために何ができるか、したいか
・地域、業界、社会全体に対して貢献できることは何か
・自分自身の信条、好きな言葉、座右の銘は
●以上の8マスの質問に真摯に答える。どうしても答えが見つからない場合は「現時点でノーアイデア」と書いておく。無理やり答えをひねりだして思ってもいないことを書くよりは良い。
●最後にど真ん中のマス目に経営理念を書く。その時には前もって用意しておいた10社分の他社事例を参考にする。
こうした作業は時間をかけてゆっくりやるに越したことはないが、投入時間と出来映えが正比例するものではない。
●「すごい会議」の大橋禅太郎さんが指摘するように、直感で考えたことの86%は長時間考えた結果と一緒になるというが、私もそれに異論はない。
『がんばれ社長!今日のポイント』というメルマガタイトルも、ウンウンうなりながら二分くらいで決めた。
●もしどうしてもしっくりする経営理念が出てこなかった場合は推敲作業が必要になる。
推敲と完成については明日の号につづく。