●今週火曜日、人気マジシャンのSや有名タレント、演歌の大御所を招いてのお祭りイベントを成功させたH社長(30代半ば)。
彼の本拠地は香港とマカオ。香港では金融サービス業を、マカオでは不動産業を営み、日本にも東京港区にオフィスがある。
●そんなHさんは毎月一度、日本にやってくるそうだ。一週間でおもだった顧客やパートナー企業を精力的に回るという。
私も彼とは和僑会のつながりで数年来のおつきあいになる。
●そんなHさんから「都内で会いたい」と香港からメールが届いた。
そこで昨日は名古屋から東京へ移動。車中でメルマガを書き、オフィスに荷物を置いてふたたび東京駅へ移動。
昼の12:30、丸の内の「ハヤシライス」発祥のお店でHさんとランチミーティング開始。
内容はまだ発表できないが、二つのことを協力してほしいというお話で、面白そうな案件だったので前へ進めることにした。
それにしてもHさんはいつも楽しくて、いいオーラが出まくっている。
●14:00 Hさんとお別れし、オアゾ丸善本店を散策していたら、村上春樹の長編書き下ろし小説の新発売の場面に遭遇。
いまこの瞬間から発売が開始される、という作業中に中味も見ずに手に入れた。
→ http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2009052802000151.html
分厚いのが二冊もあるのでしばらく楽しめそうだ。
●レジで支払いを済ませ、東京駅へ向かいかけたらコンコースの向こう側から見覚えのある男性がやってきた。
間違いなく有名人だ、誰だっけ?
すぐに思い出した。しわがれた声の日本が世界に誇る建築家のAさんである。でもこんな大物が一人でカバンをもって歩いているはずがないと思い、何度も確認したが、やはり間違いなく本物のAさんだ。
私以外の人も何人か、足をとめてAさんを見送っていた。
●15時 横浜着。ランドマークの「ロイヤルパークホテル」にチェックイン。今日はここの高層階で一仕事し、そのあと楽しみにしていた「横浜開国博」を見物にいくことにしている。
実はホームページを見ても「開国博」は何がお楽しみイベントなのかよくわからないのだが、気になる時はまず現場に足を運ぶようにしている。
●ホテルの部屋でまずメールチェック。今日は読者メールがたくさん来ていた。
・「F先輩との思い出」、感動しました。もっと続けて下さい
・若い社員に回覧し読ませた
・本にしてほしい
などと久々にうれしい感想メールの山。
●親しい友人と酒を飲んだときにはこうした昔話をするときがあるが、基本的に済んだ話をするのは好きじゃない。
ましてや20代や30代の自分のことなんて自慢できることはなにもない。
でも今回のメールの数をみたら、また書かねばと思う。
我ながら意志薄弱だ。
●「がんばれ!クラブ」関係の添削コメントを何本かお返しし、ふと気づいたら午後6時を回っていた。
早く行動を開始しないと「開国博」が見られなくなると思い、急いでホテルを発つ。
●タクシーで10分ほど走り「はじまりの森」で入場チケットを買う。
午後6時を回ると入場チケットは半額の1,200円になるという。時計を見たら6時20分、ちょうどラッキーだった。
●メインゲートから入場すると、すぐに機械式の巨大グモがいる。
これは今回の目玉で、フランスから借りているものだときいた。午後7時から運行が始まるというのでそれまでの間、違うものを見て回った。
巨大グモの画像 → http://www.flickr.com/photos/takezawa/
●さて、読売新聞・横浜版によれば「開国博、さあ巻き返し!新型インフルエンザ影響、鈍い出足」とある。
9月27日に閉幕するまでに500万人の動員を見込んでいるが、スタートの一ヶ月で23万人とすこぶる低調。
新型インフルエンザの影響で遠足や社会見学の中止がつづいた、と中田市長は記者会見したが、私はインフルエンザの影響だとは思わない。
●当初は夜10時まで目一杯歩いて「開国博」を満喫するつもりでやってきたのだが、結局この日は午後8時にはホテルに戻ってサッカーを観ていた。
「大人が楽しめる目玉がない」というのが率直な感想。
●ただ、6月と8月には黒船来航ショーがあるなど、イベントも盛りだくさんあるようなので、たかが2時間歩いただけで横浜が総力をあげたイベントを斬ることなんかできない。
だから、もういちど来月の黒船ショーを観にやってくるので、そのときには思ったことは遠慮なく言わせていただく。
●翌、5月28日(木)。起床と同時にホテルのカフェへ。着替えながらカーテンをあけたら本降りの雨。
ふだんは旅先で朝食をとらないが、昨夜の夕食が軽かったのか今朝はしっかり食べた。食後、チェックアウトを済ませて横浜駅までタクシーで移動。
「開国博はどうですか?」
タクシーに乗るたびにこの質問を昨日からしている。数えてみたら4回質問したことになる。
今日のタクシーもポジティブな反応がかえってきた。
4人が4人とも「開国博は楽しく、客の入りも反応も上々」だというのだ。
主催者発表では低調だという開国博が、タクシーでは4人中4人が「開国博いいよ」という。どういうことだろう?
●横浜の人は自分たちの街を愛し、誇りをもっているから”けなす”ようなことは言わないのかもしれない。
そう思い、タクシーの運転手に聞いてみた。
「運転手さんは横浜の人ですか」
「今はそうです。生まれは東京のはずれですが、社会人になったときに横浜の会社に就職し、そのままこちらで結婚し、住民票もこっちに移して10年以上になります」
「横浜は好きですか」
「ええ、好きですねえ。きれいな港があって海があって山と丘があって公園があって緑も多い。自然に恵まれていて開放感があるのにおしゃれで都会的。こんな街は横浜と、あとは、神戸ぐらいですかねえ?」
●自分が住んでいる町が嫌いだという人はあまりいないだろう。多くの人は我が町を愛しているはずだ。
だが、町に誇りをもっているかと聞かれると疑問符がつく。
ダメな息子や娘をなげく親のように「だめだ、うちの町はへたくそだ」となるのではなかろうか。それが横浜にはない。
●自分の町を愛するのは人として自然な感情。
だが、自分の町に誇りを感じてもらえるようになるには、長年の歴史や文化、伝統、自然環境などが必要になる。それは、一朝一夕で作れるものではない。
だが作らねばならない。それは国家も企業も同じこと。
●客観的にはうまくいっていると言えない「横浜開国博」。
それでもけなさないタクシー運転手に出会うために横浜までやってきたようなものだ。