※7月4日(土)、山形県で行われた N 社の 第64期経営計画発表会で私はこんなお話しをさせていただきました。
今年で64期を迎えられたということは64年前に会社が誕生したということです。人間でいえば64歳、私より3歳年上ですから昭和26年、1951年にこの世に産声をあげられた会社です。その後、昭和の高度成長があり、オイルショックやドルショック、バブル景気の沸騰と崩壊、アジアの台頭、リーマンショック、東日本大震災、など幾多の荒波にもまれながらも、こうしてきちんと会社が存続し、発展し、さらに上を目指して戦おうという意欲あふれる会社であることは、それだけで実に素晴らしいことだと思います。
日本は世界でも屈指の長寿国として有名ですが、実は会社も世界一長寿なのです。200年以上の歴史がある会社が国内に何社あるかという調査では、世界三位のドイツが約300社、二位のフランスが1,500社、一位の日本はフランスの2倍以上にあたる3,113社あるのです。いかに日本の企業人は、会社を存続発展させることに長けているかという証拠でもあります。
会社の平均年齢に関するデータも調べてみました。存続している会社の平均年齢を調べた会社があるのです。日本国内には300万社ほどの企業がありますが、帝国データバンクの調べによれば、日本企業の平均年齢は36歳だそうです。アメリカは20歳。いかにも若いのがアメリカです。すぐに会社を倒産・精算・売却する傾向にあるアメリカ。一方、日本の経営者は会社を存続させ、雇用とのれんを守ろうと努力していることがこんなデータにもあらわれています。
では、これから N 社が100年企業、200年企業をめざしていかれる上で大切なことは何かを考えてみました。4つほど申しあげたいと思います。
1.顧客が創造されていくことNK 社が唯一の顧客であることは先ほどの方針発表で伺いました。従って、NK 社以外の会社を開拓せよという話ではありません。ここでいう顧客創造とは、より深く NK 社との関係を強め、NK社のビジネスに N 社がなくてはならない存在になる。それによって新しい仕事が創出されていくということであります。そうした顧客創造の営みに「もうこれで良し」というゴールはありません。
2.社員が成長していくこと
社員ひとりひとりの技術や知識、知恵の結集が企業の匠(たくみ)といわれるものになります。今よりさらに匠にあふれた会社になれるかどうかは社員一人一人の自己研鑽、相互研鑽にかかっているのです。
3.財務を強化すること
売上げや利益の目標を達成するのは社員や幹部の責任です。そうした売上げや利益をどのように配分するかは「財務」といって経営者が最終判断するものです。会社の財務基盤が強くなってこそ会社は将来への備えができ、雇用が安定し、待遇改善や未来への投資余力もついてきます。N 社は経営品質賞を受賞されるなど、東北のみならず日本の代表的製造業ですが、財務という点では道半ばだと N 社長からうかがいました。「全国レベルでみたら、せいぜい中の上ではないか」と N社長はおっしゃっていますが、理想を高くもたれているからの言葉だと思います。いずれにせよ、財務重視の経営は100年企業作りにおいて欠かせないものです。
4.経営者予備軍がたくさん育っていること
今やっていることが10年後、20年後に何パーセント残っているでしょうか?おそらく何一つ残っていないはずです。変化のスピードはますます早くなっており、それに追いつくのは大変です。追いつくのが大変ならば、確実に追いつける方法を考えましょう。それは変化を起こす側になるのです。環境に適応するのでなく、環境を創造する気概で仕事をします。それはひとえに現状否定です。同じものを同じように行っている仕事は何一つないと考え、そうした変化の先取りをリードするのが経営者の仕事です。それは一人や二人でやれる仕事ではありません。何人もの経営人材が必要です。あなたは一日も早く今の仕事を卒業し、後輩達に任せられるようにしてください。そして一つ上のステージで仕事ができるようになったとき会社は活性化し、若返り、老舗企業でありながらもベンチャー企業でありつづけることができるのです。
以上、第64期の門出にあたり、お祝いと激励のメッセージとさせていただきます。
またいつか、お互いに今以上に若々しくなって再会できる日を楽しみにしています。ご清聴、ありがとうございました。