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短気に見えるが

●昔から「魚釣りは短気の人が上達する」といわれるが、私も一時期、海釣りに熱中していたときにはその格言を信用していた。
なぜなら私に釣りを教えてくれた2~3の釣り名人は皆、短気だったからだ。

●釣りながらも、とにかくひんぱんに何かぼやいている。
「潮が止まっちゃったなぁ」「エサ取りにやられてエサが本命まで届いてないぞ」「タナが深すぎるんかな」「水温がまだ低いなぁ」

そして、ぼやくだけでなくひんぱんになにかをいじっている。エサを変えたり重りを変えたり。

●だが、私は大海原にプカプカ浮かぶ船に乗っているだけでいい気分。
「せっかくの休日の釣りなのですから、海のオゾンでも腹一杯に吸って、のんびりいきましょうよ」と缶ビールをあけている。

私自身は釣果(ちょうか)が目当てではなく、釣りという行為を楽しむことがメインだから、5分も10分も釣り糸をたれたまま山海の景色を愛でている。

●そして案の定、帰路につくころには名人のクーラーボックスは魚だらけ。私のは、その半分以下しか入っていない。それは性格の問題だと思っていたが、後になって気づいた。それは目的の違いだ。

●釣り名人たちにとってゲームの目的は「釣果」である。

釣果を上げるために何をしなければならないのかを彼らは知っていて、打つ手も多い。
ところがこちらは「釣果」が目的ではないので、釣るためにどうしたらよいのか、ほとんど知らない。

●釣果を上げるためには孫子の兵法が必要になる。

「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」は魚釣りにも当てはまるのだ。

<敵を知る・・・海や魚のことを理解しようとすること>

潮の流れや時間帯、天候や水温の状況から魚がどこにいるか、魚は今、どのような状態(活発に喰うとか喰わないとか)を推察する

<己を知る・・・敵にどう対応すれば良いかを考えること>

釣り場所はどこがベストか道具は何を使うか(サオ、リール、重り、糸、針、ルアーなどの選択)
エサは何を使うか釣り方はどのようにするか(棚の深さや誘い方など)

●これらを考え、変え続け、当たりを待つ。
当たりが来なければ再び何かを変える。

釣りを知らない人がそんな彼らの様子を見ていると、釣り名人は皆、短気な人に思えるのだろう。
だが性格が短気なのではなく、目的を果たすための選択肢を彼らはたくさん持っているに過ぎない。なぜなら、釣果が目的だから。

●会社経営も同じだろう。

結果を出す経営者は短気でせっかちに見える人が多い。
特に起業家や創業経営者にはそのタイプが多いように思うが、実は、釣り名人同様に、納得できる結果が出るまで絶えずなにかを変え続けるからそう見えるに過ぎない。

●来週から連休に突入し、連休が明けたらすでに初夏モードに入りだす。
一気に今年も中盤戦に入るわけだが、次の手を何にするか、せっかちに考え行動しよう。