●東京の人に「名古屋の者です」と自己紹介すると、「あ、地方の方ですね」と “上から目線” で見られることがある。
ましてや「岐阜県生まれです」というと、草深い山の中から出てきた粗暴な熊人間のような目で見られる。
●優秀な人間、やる気がある人間は東京に集まり、それ以外の人間か長男だけが地方にいる、という状態が始まったのは明治維新以後のことであろう。
●明治新政府は首都を東京に移し、廃藩置県してここに国家の中枢機能をすべて集約させてきた。
当然、地方から大量の人材がかき集められ、江戸はみるみる近代都市・東京に変貌した。
●もともと江戸時代の江戸も大きな街ではあったが、首都機能としては幕府がここにあるだけで、地方は藩政を敷いて大名に管轄させていたから今ほど極端な一極集中ではない。
●「東京一極も行き過ぎだ」と、地方分権の形として「道州制」も研究されているようだが、思惑もからまって議論百出すれど、まとまりがつかない状態にある。
「だったら、まず自分たちでやれることからやろうよ」と立ち上がる若者たちが各地に出ている。
●昨日お目にかかったのは岐阜のNPO法人「G-net(ジーネット)」。
「岐阜の街から新たな社会を仕掛けたい」とインターン学生と地元中小企業とをマッチングさせてきている組織だ。
2001年10月から秋元祥治代表が活動を開始し、行政や学校も巻き込んで、岐阜県はもちろんのこと中部地区全域の中小企業と学生を結びつけてきた。
●学生は「インターン」として地域企業に数ヶ月働く希望を出す。
同様に、企業側もそれを受け入れる希望をだす。この両者をマッチングするためのお見合いイベントや、共同勉強会・研究会を主催するのがG-netの仕事だ。
●企業側はG-netにインターン費用を支払うが、それほど高い報酬ではない。受け入れる期間も限定なので、正社員やパートタイマーを採用するほどではないが人材がほしい、というときにありがたい。
何よりも企業側にとってありがたいのは、経営者も社内も活性化する。
時にはインターン学生がそのまま正社員になるケースもあるという。
★G-net ⇒ http://www.gifist.net/
●G-netの秋元代表から「武沢さん、岐阜のために是非」と請われて昨日、講演に出向いた。
30名近い受講者の大半が大学生。インターンとしてすでに企業の最前線で働いている人が中心だから、ビジネスの現場で使われる用語が出ても抵抗なく食らいついてくる。学生のことだから、ノートを取りながら人の話を聞くのはお手のもの。彼・彼女たちのそうした熱心な姿勢に乗せられて、調子にのっていろんなお話しをした。
90分のスピーチが終わった瞬間、耳が痛くなるほど大きな拍手が長時間つづいた。「ああ、お役に立ったみたい。来て良かった」と思った。
●このように、優秀な人材が大都市に流出するのを阻止するような試みは産官学あげて取り組むべき重要なテーマだと思う。
G-netの秋元代表は社会起業家としての使命と先見力をもって9年前に今の事業を立ち上げたわけだが、ますますこの活動の重要性は高まってゆくことだろう。
●一点突破、全面展開。
一点突破するためには、錐の先端はとんがってなければならぬ。
しかし、蟻の一穴さえあけてしまえば、あとは時勢が味方する。
がんばれ岐阜!がんばれ地方の若者!がんばれ地方の中小企業!