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IT 投資マインド最下位の国

スマホ専用のホームページ制作を行っている J 社には 「IT 費」という勘定科目がある。粗利益の3%を IT 投資にあてるという方針があり、IT 関連のハード、ソフト、アプリ、クラウドサービスなどの費用を「IT 費」として管理し、費用対効果などを厳しくチェックしている。

J 社の三人の経営者はいずれも40代だが、なぜかアナログ派が多い。そこで若手幹部の Y 君が「IT 担当リーダー」として月一回の経営会議に出席し、スマホや IT 活用の先端事例を役員に報告することになっている。「Salesforce 導入の件」という議案書を提出したのが昨年末で、今年2月に導入が決まった。当然この会社の業績は非常に良く、受注も好調である。特に Salesforce 導入後は営業の成果見通しの精度があがり、先々を見越した営業対策が打てるようになったという。

一方、ほぼ同業の別の会社では IT 投資という考えがまったくない。顧客の IT 化を支援する会社なのだが、肝心の自社のハードやソフトは「事務用品費」扱いで、できれば削減したいコストの中に含まれている。当然、IT 投資の予算化はされていないので、Windowsや Office製品のバージョンも古いままである。ビデオカメラの修理すら社員はおそるおそる上司にお伺いをたてねばならない。

日本企業の生産性が諸外国に比べて低いというニュースをいろんなところで聞く。その理由のひとつとして私が注目しているのは、米国ガードナー社調査による「国別 IT 投資マインドランキング」というものである。

これは調査対象国17か国の企業の IT 投資額の増加率や年商に占める IT 投資額の比率などを指数化したもの。当然、順位が高いほど IT投資マインドが高いということになる。

それによれば、

1位:インド
2位:米国
3位:オーストラリア
4位:中国


そして「日本」は最下位の17位だった。しかも得点は上位3か国の3分の1しかない、かなり圧倒的な最下位であった。

国別 IT 投資マインドランキング
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/it-keiei/about/doukou.html

このデータをよくみていくと IT 投資額が不足しているばかりか、投資の内容でも日本は非常にディフェンシブであることがわかる。それは、費用対効果が分かりやすく、即効性が期待できそうなものなら投資するが、そうでないものは後まわしにするという考え方である。新規顧客開拓や、新規ビジネスの開発、新製品開発などのために IT 投資を積極的に行うアメリカ企業と比較すると非常に保守的であると言わざるを得ない。

かつて日本企業は、オーナー経営者が多いので将来のために投資することができるといわれた。それにひきかえ欧米諸国は株主の発言権が強くて目先の利益ばかりに走っている、と言われたものである。だが、こと IT 投資に関して言えばそれは逆転した。

できれば「経営計画書」のなかに IT 投資に関する方針を定め、売上げや粗利益に占める IT 投資額の割合を決めて予算化しよう。そのあたり、 IT 投資が遅れている会社は、経営陣が IT 音痴のため、IT に関する議論がされていない。上記の J 社のように「IT 担当」の社内リーダーを任命すれば IT 化は進むのだ。

まずは営業を強化し、競争優位に立とう。今の日本の IT 投資マインドの低さを千載一遇のチャンスととらえるのだ。

いつも見積り負けで失注していたとしても、これからは提案力と即応力で他社を圧倒する営業部隊をつくりあげよう。顧客情報や物件情報、営業活動情報などを一本のソフト(アプリ)で一元管理することで、いままでまったく見えていなかった情報がすべて見えるようになる

そこに富の宝庫が眠っている。

さっそくこちらの実例集を手に入れて幹部会議で議論してみよう。

無料 PDF 「ベンチャー企業は Salesforceで何を手に入れたか?」
http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=4250