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らしい宴

●結婚披露宴といえば、主役は新郎新婦。
お二人の結婚を祝う会なのだから、昔から披露宴運営のひな形はだいたい決まっている。

まず新郎新婦の場内入場のあと司会者が自己紹介し、仲人が新郎新婦をそれぞれ紹介する。

緊張気味に、こんな話をするものだ。
「え~、本日はお日柄もよく、またお天気にも恵まれて・・・。新郎の太郎君は子どものころから学業優秀・スポーツ万能で・・・、また新婦の花子さんも小さいころからすでに地元のマドンナとして・・・」

などとお世辞もたくさん入れながら二人を紹介する。

●そのあと、主賓からの祝辞、乾杯の発声のあとケーキ入刀、上司や友人がスピーチや余興をやって、最後は二人から両親に花束贈呈。
新婦から親にお礼の手紙を朗読し、最後に、両家を代表して親が涙ながらに列席者にむかってお礼を述べる。

そのあたりでこちらも感極まり、心が洗われる。

「いい披露宴だったね」と口々に言いながら引き出物を手にした列席者が家路についていく。
そうしたお決まりの披露宴だと分かっていても、毎回感動が新たになるものである。

●一昨日、東京・目白の椿山荘で行われた披露宴も、そうした宴になるものと思って私は参加した。

ところが・・・。

宴の主は私の友人でもあり、広告主として「がんばれ社長!」を長年支えてくれている五藤さん(日本経営合理化協会出版局)である。
お相手は職場の後輩、沙織さん。

●すでにお二人は先月、明治神宮で挙式を済ませ、この日(2月21日)は、仕事関係者や友人を招いての披露宴。
この日は二次会的な披露宴でもあったのだが、とにもかくにも前代未聞ともいえる、楽しく大爆笑の披露宴となった。

●まず司会者(新郎の上司)のあいさつからしてすでに型破りだった。

「いまこの瞬間も、あの五藤が本当に結婚するとは信じられない。新婦の沙織さん、思い直すなら今のうちだよ」とか「もともと沙織君を部下として採用したのは五藤である。それを今回、嫁として採用し、彼女を会社から奪うとはけしからん」

などと場内から笑いをとる。

●友人テーブルにはジョークが通用する若者が何人もいて、彼らの大爆笑が緊張気味の場内ムードをほぐしていく。

勤務先のトップ、牟田學理事長のあいさつもふるっていた。

「五藤、沙織君という当社の大切な人材を奪うとは何事か。また求人せねばならぬじゃないか。その費用はお前の給料から差し引いておく」
などと、おおよそ主賓らしからぬ、ユーモアとも毒舌ともとれるあいさつに場内が沸く。

●このあたりで賢明な列席者なら意味が解けたはずだ。

「今日は普通の披露宴じゃない」と。

今日はJMCA(日本経営合理化協会)主催のショーなのだと。

●その牟田理事長のあいさつの最中にもかかわらず、司会者はスピーチ中の理事長にヤジを飛ばす。
ずっと立って聞いている新郎新婦にむかって、「何時間かかるか分からないから、座っていいぞ」

すると理事長も黙ってはいない。「大丈夫、あと6時間もあれば終わる」

●二人の愛の共同作業「ケーキ入刀」の場面では、二人が手を取り合ってナイフでケーキカットならぬ、パソコンの電源オン。

すると、以前に撮ってあった画像が大モニターから流れ出す。
しかも新郎新婦の画像ではなく、列席者一人ひとりの画像なのだ。私の画像も出た。相当前に同社のセミナーを受講したときのスナップだった。なんて粋な演出だ。

●「日本一ワインが似合うコンサルタント」として紹介された酒井光雄氏のスピーチには「ワインと披露宴」というお題までついていた。

氏は「自分以外の者が主役になるスピーチでは緊張する」そうで、新郎から前もってこのお題をもらっていたらしい。

テーブルの赤・白ワインがどのような思いでチョイスされたものか、また五藤さんと沙織さんをワインに例えるなら何なのか、というスピーチだった。
ちなみに40才になる五藤さんは「貴腐ワイン」に例えられ、場内から大爆笑がおきていた。

●新しいものが大好きな新事業開発コンサルタントの高島健一氏は、「誰も見たことがないお祝いスピーチをする」と、iPhone3Gの画面をプロジェクターで投影し、お琴の自動演奏を聴かせながら祝辞を述べていた。

●伊勢エビとかフォアグラが乗ったステーキとか出てきたが、そうした豪華なご馳走の味が記憶にないほど楽しい披露宴だ。

「もうちょっと新郎新婦を持ちあげても良いのに」と思わぬでもないが、最初から最後まで100人の列席者に対する披露ショーであるかのような運営。これもひとつのスタイルとしてあって良いな、と思った。

●私のテーブルには、岡田さん(トークス)や土井さん(エリエス)、鮒谷さん(平成進化論)、濱本さん(日経MJに見る・・)など有名メルマガの作家がたくさん居たが、「JMCAってこんなおもしろい会社だったんだ」と彼らからも感嘆の声があがっていた。

●”企画がウリ”の会社が披露宴をするとこうなる。

あなたのまわりにも披露宴が近い人がいたら、「らしさ」を出すように教えてあげよう。「ありきたり」は卒業だ。

いや、披露宴に限ったことではない。
もうすぐ卒業式や入学式、入社式や歓送迎会シーズンだが、すべての宴やセレモニーには、自分らしさ、会社らしさというものを意識した企画にしようではないか。

★五藤さんカップルの画像 → http://www.flickr.com/photos/takezawa/

・・・今日のメルマガを五藤さん、沙織さんに捧げます。