●ジョブ・ローテーション(人事異動)することで、人は新しい環境に早く慣れようと懸命になる。時には自宅の引っ越しも伴ったりすれば、生活環境まで大きく変わるので、すべてが新しくなる。
だから社長は、社員の仕事をローテーションしてあげよう。5年も10年も同じ職場で同じ仕事をさせていてはかわいそうだ。
●だが現実問題として、配置転換させようにもオフィスは一箇所しかない、社員は少数なので、大胆な異動をしようものなら業績の足を引っ張りかねない、という会社も多い。
●そんなときでも、やり方は無数にある。
部署異動がむりなのであれば、担当職務の変更や、担当客先の変更、やり方の変更などなど、変えられるものは結構多いものだ。
それすらもない、というのなら、事務所レイアウトの変更や席替えでもよい。とにかく何か、新しい動きを取り入れよう。
●社内の活性化のために「委員会」や「プロジェクトチーム」を取り入れている会社も多い。
知人の会社では、社員200名全員に「一人一研究」を働きかけている。
次の12委員会のどれかに所属しませんか、という提案だ。
IT推進委員会、利益還元委員会、月間優秀社員決定委員会、社員旅行委員会、環境美化委員会、新入社員歓迎・育成委員会、感動創造委員会、健康増進委員会、しつけ委員会・・・
●「強制すると社員は自分の脳を閉じる」との考えから、無理強いはしていないが、結果としてほぼ全員がどれかの委員会に所属しているそうだ。
委員会活動によってマンネリ気分の防止になるし、創造性も発揮できる。しかも普段、仕事ではコミュニケーションを取れない人たちとミーティングすることで新鮮な気分になれる。
●会社としては、12の委員会がそれぞれ自主的に運営されるように仕向けている。
たとえば、委員長を誰にするかとか、ミーティングの頻度や目標を何にするかなど、すべて委員会任せ。決して口をはさまない。
だから、社歴や性別、立場の違いを超えて委員長が誕生する。
●会が活性化するように、あらかじめ予算もつける。多い委員会では年に300万円、少ない委員会でも100万程度の予算が付く。だから、議論だけでなく、具体的な動きが委員会から始まることも多い。
内容が良いと、期の途中でも「奨励金」を出すこともあるという。
●部門横断のこうした委員会が活性化すると、充分にジョブ・ローテーションの変わりになると私は思うのだ。