●経営計画書を作り、社内で発表する。それは社長として当然の仕事なのだが、その経営計画書を主力銀行にも手渡し、きちんと説明しよう。
担当者に渡すだけでなく、支店長にアポをとって説明に伺うと更によい。
そんなことをしている会社は百社に一社もないはず。
おそらく支店管轄内ではあなたの会社、ただ一社だけということになる。そうなると銀行は、あなたの会社を見る目が俄然変わってくる。
行内ランクが上がったり担当部署が変わる。当然、取引条件も変わってくるだろう。
それにはクォリティの高い経営計画書が不可欠なのは言うまでもない。
●それを証明するかのように、昨日、平瀬楽器(ひらせ がっき)の平瀬社長からこんなメールが届いた。ご本人の了解も得たので、ぜひともあなたに読んでいただきたい。
・・・兵庫県の平瀬です。大変ご無沙汰しております。
ひとつ嬉しいことがありましたのでご報告させていただきます。
父の代より銀行さんから多額の融資を受けており、代が替わった今もある程度の額が残っています。
5年ほど前、父がまだ存命の折りに銀行の経営診断士の方が経営計画書を作って持ってこられました。
このままじゃよくないよ、ということだと思うんですが、その時は、その計画書をたたき台にして、父とその方とで今後5年間の経営計画が作られたようです。
当時のわたしはそのあたりのことはあまり知らず、出来上がった計画書を眺めたような記憶がある程度でした。
そして今年、その経営計画の5年目に当たるということで「計画の見直しをしたい」と経営診断士の方が再びやってこられました。
今までの経緯とこれからの数字計画や行動計画を考えようということです。
それなら、ということで昨年作ったばかりの「経営マニフェスト」を取り出して、「ここにまとまってます」と手渡しました。
これは昨年、武沢先生の「経営マニフェスト」作りの講座に通って作ったものです。
数字はもちろんのこと、理念や夢がたくさん盛り込んでありますし、計画も具体的にしてあります。
診断士さんはしげしげと計画を見入っていて、用意してきた書式にも転記しておられました。想定よりちょっと大きな目標数字だったようで驚いてもおられました。
それから何日か経って、今朝(1月21日)、銀行さんが来店されました。
「実は…」と切り出されるのです。
「実は、以前にいただいた経営マニフェストが行内で非常に評判がよく、上司もお手本のような経営計画だと申しておりました。
たとえ熱意があったとしてもああいう形でまとめられる経営者の方は実際に少ないです。
ああいうものをきっちり作って前向きにがんばってられるところには銀行としては出来る限りのバックアップをさせていただきたいと思っています。
それと、これは行内の話なのですが、最近の御社の経営内容のたしかさと、社長が作られた経営マニフェストの内容から判断して、御社の行内ランクが1つ上がったんです。
今までは経営支援の課が担当させていただいておりましたが、今後は別の課が担当させていただくことになります。」と言われました。
実際のところ、行内のランクとかそういう話にはピンとこないのですが、経営マニフェストを作り、たとえその中身が若干荒唐無稽だったとしても、それを評価してくれたということが非常に嬉しくて、これは武沢先生に報告とお礼を申し上げないといけないなと思い、メールさせていただきました。
若干興奮しておりますので、何のことやら話がまとまってない感もありますが、こんなことがあったんだなぁということだけでも伝われば幸いです。
まだまだこれから先長く、それこそ借金も返していかないといけませんし、たくさんの関係者の皆さんに幸せになってもらわないといけませんが、ここ数年やってきたことが間違いではなかったなと思った瞬間でした。
これからもより一層ふんどしのヒモを引き締めて、自分の理想に向かってやっていければと思っております。
なんとなくモヤモヤしていたものが少し晴れたような気がしています。
これも武沢先生のおかげです。本当にありがとうございます。
まだまだたくさん学ばせていただければと思っております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
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平瀬 友喜(tomoki_hirase) tomoki@hirase-gakki.com
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●平瀬さん、ありがとう。そしておめでとう。
平瀬さんは、お父さんがご健在の時から神戸や京都の非凡会に参加されたり、大阪での「がんばれ社長!経営ゼミ」にも参加されるなど、大変熱心に勉強してこられました。
一昨年の夏でしたか、お父さんを亡くされた直後に神戸でお会いしたときは、ものすごくさみしそうでした。でも、「いよいよ社長本番です」と私に決意を語ってくれました。その年、マンダラ手帳も使い始めましたね。
「どうやって使うのですか」と私に何度も聞くので私は面倒くさくなり、「社長なんだから細かいこと言わずに5冊くらい買ってきて練習して自分で覚えたら」と申し上げたことも覚えています。
もちろんこれからも平瀬さんの真価が問われ続けます。でも今回、大変貴重な一歩を踏み出されたのは確かだと思います。
●貸し渋りや貸し剥がしなど、金融不況の余波で、銀行のやり方に対する風当たりが強まっています。
しかし、それはその他大勢の社長が率いる会社での出来事です。
「がんばれ社長!」を読んでおられる経営者はその他大勢ではありません。なぜなら、会社経営にあたっての志や経営理念を明文化し、それを方針や戦略、具体的な計画にまで落とし込んで毎月チェック・修正しているからです。そうした社長が率いる会社には、銀行は本腰入れて付き合うのです。
むしろ明るい未来を描ける企業が減っている今こそ、平瀬楽器さんのように銀行を味方にしていく千載一遇のチャンスなのです。