まずはお待ちかね、今回のアンケートの景品当選者を発表したい。
・2015マンダラ手帳(小さくどこかに武沢サイン入り)
⇒「会津の侍 大ちゃん」さん
⇒「りぼん」さん
お二人が抽選に当たりました。
・武沢の本棚からこぼれた本2冊 1名様
⇒「こまばたろう」さん に当たりました。
・武沢のセミナーを30%off で受講できるチケット(1年有効)1名様
⇒「中嶋」さんが当選されました。
おめでとうございます。選にもれた方も気を落とさず、またチャレンジしてください。そのうち良いことがあるでしょう。
「今回はレベルの高い提案ばかりでおどろきました。せっかくなので残りの方の意見も掲載してほしい。それに武沢さんの模範解答が楽しみです」というメールが香港から届いています。
明日の金曜日号の紙面に余裕があれば、残りのご意見を紹介できるかもしれません。
さて、武沢の「模範解答」というわけだが、実は架空の事例に対する模範解答などは存在しない。私がいまから述べるのは実例の紹介である。ただし、あまりに凄みのある実例なので「私には無理かも」といわれる可能性もあるが、黙ってやりすごすわけにはいかない事例である。
場所は北海道・砂川市。札幌と旭川の中間地点にある。かつては石炭の街として大いに栄えた。最近は菓子店が増えたことから「砂川スイートロード」をアピールし、観光客の流入をはかっている。しかし年々人口は減っており、ピークに32,000人を超えていた人口はいま18,000人にまで減った。
そんな砂川市に「いわた書店」がある。かつては市内に4店舗あった本屋が2店になったが、そのうちの一店である。砂川の小さな本屋さんがいま、日本中から注文をあつめ、Amazon ですらマネできないサービスとして話題になっている。
ご主人の岩田 徹さん(61)は9年前「自分の給料もとれない」ほどの経営状態だった。ある日、同窓会でその窮状を訴えた。すると先輩のひとりが「これで面白そうな本をみつくろって送ってもらえないか」と一万円札を手渡した。「じゃあ、僕も」、「私もお願い」と数人の先輩が【一万円選書】の注文をくれた。
雑誌と新刊頼みの出版業界だが、旧刊の本のなかにすばらしい作品がいっぱいある。その魅力を知ってもらいたいと岩田さんは思っていた。相手がいままで読んだ本でおもしろいと思ったものを聞き、その関連から【一万円選書】が決められる。選ばれる本は意表をついたものも混じっているという。そしてそれを受け取った読者は「そうきたか」と唸ったり、読みすすめるうちにこんな素敵な本を紹介してくれた岩田さんの存在に涙する人もいるという。
今年3月、NHK の『おはよう日本』で岩田さんのサービスが取り上げられた。そのときの様子。
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広島県に住む22歳の女性から岩田さんに依頼が届いた。彼女は漫画家になりたいのだが、行動を起こせずにいた。手紙にこうあった。「自分は本当に取り柄もない。自信もなくって、いまだに人の顔を見て話しすることもできない」
彼女のもとに送られてきた本の中に、心を揺さぶられる童話があった。一度、何かに夢中になると我を忘れてしまう男が主人公の物語だった。特に胸を打ったのは、主人公によって自信を取り戻していく少女の心の描写だった。“自分の足元に、もうずっと前から張られている、澄みきった美しいこの世の氷。氷の上で、ペチカの足はふるえもせず、きれいにぴんとのびてるさ。”開かれた未来に向かって、しっかりと自分の足で立つ少女。女性はその姿に自分自身の姿を重ね合わせた。
そして依頼主の女性はこの春、ふるさとを離れ本格的に漫画家を目指すことにした。
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NHK の同番組では、妻に先立たれた男性からの注文書も紹介した。
「妻を失った喪失感」と「息子たちとの関係」に島崎さん(55)は悩んでいた。なにしろ10代で出会って結婚したので妻がいない人生は考えることなどできなかった。岩田さんの選書のなかで島崎さんは、ある詩集がつよく胸を打った。息子のなかで一番内気でほとんど会話したことがなかった三男に声をかけた。一周忌の日、キャッチボールに連れ出し、勇気をだしてお母さんのことについて話し合った。「お母さんの分まで長生きする」と息子は言った。お母さんが死んで父子の絆ができた。岩田さんの【選書】のおかげだと思う。
おはよう日本(2015年3月16日放送)
→ http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2015/03/0316.html
最近は注文が殺到し、半年で1,000件を超えた。これでは納品がいつになるのか分からないので新規の受付は停止している。個人商店に立地なんて全然関係ない。ましてや知名度や資本力など露ほども関係ない。自身の強みに集中したサービスを考案すれば日本中から客が押しよせることを岩田さんが証明してくれている。
いわた書店【一万円選書】の記事
→ http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1502/10/news056.html