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サポーターの存在

●先週のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」には涙させられた。
医者も治療をあきらめたガン患者たちと向き合う ガン看護専門看護師・田村恵子さん(50)がこの日のゲスト。

●余命幾ばくもない患者と一緒になって生と死に向き合いつづける彼女。その笑顔と聞き上手が患者とその家族の支えになっている。
医師たちも彼女の存在抜きに医院運営は語れない。
その日常をビデオ放映したのち、スタジオに登場する田村さん。司会の茂木健一郎が「大変なお仕事ですね」と水を向けた。

●田村さんは亡くなった患者が元気だったころのビデオを観て、すでに目がうるんでいて声がでない。だまって茂木の目をみてうなずくだけ。

女性司会者・住吉美紀が助け船を出そうと、「こうして改めて日常を映像でご覧になると普段とはまた違いますよね」と言おうとするが、その両目から大粒の涙がこぼれおちている。
その涙をみて、田村も茂木も泣く。前代未聞のオープニングだ。

●死を宣告され、多くの人が希望を失う。「自分の人生はガンになるためだけのものだったのか」と呆然自失する人も少なくない。

しかし冷静に死を覚悟し、それを受け入れた人の多くが新たな生きる希望を見つけるという。それは元気だった時のように長期的な希望ではない。

・再来月の娘の結婚式まで生きたい
・今度こそグチや不平を言わないから、家にもどりたい
・お世話になったあの人にお礼の手紙を書きたい

なかには、新しい楽器や語学を勉強しはじめる人もいる。

●医療の発達で、がんの痛みの70%は緩和できるようになった。
苦痛だったがんの痛みが和らいだことで、本来のその人らしさが取り戻しやすくなった。
そして、いかに死ぬかと言うことは、いかに生き切るかということでもあると気づく。

●患者に希望を与えるのではなく、希望をもちたいと願う患者たちの声に耳を傾け、言葉ではない表情にかくされた声を知ろうとつとめてきた。
そして、「希望は必ずみつかる。相手を信じてあきらめない」ということを田村さんは悟った。

★NHK http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/080624/index.html
★住吉美紀さんのブログ http://www.nhk.or.jp/professional-blog/

●いかに生きるかといえば、今朝、79才の大学生がテレビに出ていた。
お名前は失念したので、Aさんとしておく。
Aさんは小学校を卒業して国鉄に就職した。本当は中学に進学したかったが、家庭の事情で就職した。中学も高校も定時制に通い卒業した。
そして定年まで国鉄で働いた。

●そんなAさんが一念発起、79才になって名古屋産業大学に入学した。
名古屋市守山区の自宅から毎朝通学する。帰宅後も毎日5時間は復習と予習に充てるという猛勉強ぶり。

「正直、英語やパソコンはつらい、もうついていけないと思う時だってある。でも勉強したくて入ったのだから勉強しなきゃ」
司会者が、勉強してどうするの?と質問すると、意外な答が返ってきた。

●「中学、高校と定時制に通って卒業できたとき、奥さん(78)が自分のことのように喜んで祝ってくれた。あの喜びの顔と声を思い出すと、もういっぺん味わってみたいと思って・・・」
と照れくさそう。

人にはがんばる対象が必要のようだ。そして、それ以上に、そのがんばりを見守ってくれているサポーターの存在が必要のようだ。