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顧問のセカンド オピニオン

「(時候のあいさつ)さて、このたび弊社取締役会におきまして来期以降の事業計画を議論してまいりました。先般の案件の中に、顧問の先生方とのおつき合い見直しについても議論させていただきました。

弊社の税理業務は創業以来13年間、ずっと○○先生にお世話になってきており、個人的には今後もずっとお世話になりたいと願っております。しかし、激変する経営環境の前にはそうした私情が許されず、ここにまことに残念なお願いを申し上げねばなりません。

今期13期(2015年7月末日)をもちまして御社にお願いしておりました税務顧問業務を満了し、それ以降の新規業務は別の税理士事務所と契約することが決定いたしました。13年もの長きにわたって○○先生のお力添えを頂戴しておりながら不出来な顧問先であったことをお詫びせねばなりません。またいつしか堂々と○○先生に顧問をお願いできる日が到来することを願ってやみません。

つきましては、ごあいさつかたがた、今後の対応などにつきましてご指示を仰ぎたく、近日中にご伺いしたいと願っております。後日お電話をさせていただきますので、その節はどうかよろしくお願いいたします。2015年4月23日株式会社××商事 代表取締役 ××××」

「なかなか税理士さんを変えられないままズルズルと年月が経っている」という社長のために、手紙を書けば5分で済みますよ、とその場で書いて差し上げた。言いにくいことは手紙で伝えるのがよい。

今回契約を満了することになる○○先生はまだ若いそうだ。しかし、最近病気がちで、アシスタントの職員が代行してくれるものの、サービスレベルが一気に低下した。そもそも○○先生は税務署寄りの立場で、社長としてはもっと節税の助言や経営改善のアドバイスをしてほしいと思っていたのだった。

期の途中に「役員報酬を上げたい(下げたい)」と○○先生に打ちあけたとき、即答で拒絶された。「そんなことはできないし、するものじゃない」とたしなめられたことがあった。

後任の税理士は、あるセミナーで偶然隣りあわせに座った人だった。「期中に役員報酬を変えたいのだが」と話すと、親身になって相談に乗ってくれ、役員報酬を変えることなく、別の方法で社長の希望を実現する知恵をさずけてくれた。「なるほど、それは名案だ」と思わず膝を打つような知恵だった。それ以来、医師だけでなく、経営顧問もセカンドオピニオンが必要だと思い、税理士だけでなく労務士の先生ともセカンドオピニオン契約をした。

税理士は税務署寄りか経営者寄りか、ニュートラルかという立ち位置がある。労務士にもそうしたクセがある。なるべく立ち位置が異なる専門家をセカンドオピニオンにする。そして、その存在をメインの顧問にも知らせる。それによって互いが研鑽され、社長の経営判断も豊かになる。そのためにかかるセカンドオピニオンの費用は微々たるものといえるだろう。