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集中力を高める知恵

名古屋がタクシー全面禁煙になる以前、タクシーを呼ぶ時はエムケイタクシーと決めていた。その理由はエムケーが全車禁煙だったから。
閉じられた空間ゆえ新鮮な空気はありがたかった。

それにエムケイはあいさつ教育が行き届いている。

「おはようございます、の徹底に10年かかった」と創業者の青木定雄氏。「あいさつしなかったらお金はいただきません」とまで車内表示した執念が実った。
本拠地・京都だけでなく、エムケイタクシーはどれに乗っても個体差があまりないので安心だ。
教育にはお金をかけるべきだし、教育は間違いなく儲かるという青木氏の信念がタクシー空間に宿っているようでもある。

エムケイのあいさつ教育は朝礼に秘訣がある。毎日行う朝礼こそが反復トレーニングの最高の場と考えた青木氏は、エムケイ式朝礼を考案し、成功した。
その朝礼に興味がある方はこちらのDVDに詳しい。タクシー乗務員の反応なども興味深い。↓
http://ganbare.pk.shopserve.jp/SHOP/NB005.html

朝から背筋をしゃきっと伸ばし、5分10分と腹から大声をふりしぼる。
ただそれだけで血流が良くなり、すっきりする。冬は身体がぽかぽかし、夏なら汗ばむ。

仲間と声を揃え、目標や理念を唱和するから一体感も生まれる。
朝礼直後のテンションで営業の電話をかけたり客先に向かったりすれば、不思議な勢いも生まれるだろう。

だが、今の私にはエムケイ式朝礼はむしろ逆効果かもしれない。
どちらかというと、静かで大人しい朝礼が必要だ。互いの作業を確認し、今日の自分の仕事に集中するための最低限の打ち合わせで充分だ。
それ以上のことをやろうとすると職場が盛り上がってしまう。

職場の盛り上がりは午後一番か、夕方の帰宅時で良い。

少なくとも朝はメルマガ原稿を書くために意識を集中していきたい。
きっと他のスタッフもその気持ちは一緒だろう。

なのに今週の月曜日は朝から職場がハイテンションになってしまった。
先週末に発売したボイスマガジンが週末で完売し、予定枚数以上の注文が舞い込んで、その興奮と善後策に大わらわだったのだ。

そんな朝を迎えてしまった場合、興奮をいかに静め、やるべきことに集中するかが問題。ポイントは二つあると思う。

一つは仲間に対する合図。「そろそろ私は原稿に集中したい。話しかけるのは遠慮してほしい」というシグナルを発する必要がある。
もう一つは、興奮してしまった気分を鎮め、集中力を取り戻す技術の問題。

こんな話を聞いた。

あるお父さんは大変狭い家に住んでいる。自営業を営む彼は、その狭い家の一室、いや、机一つがオフィスであり書斎でもある。

子煩悩な彼は仕事中でも子供と遊んでしまい、公私のけじめがつかないことに悩んでいた。年長組になる長男がお父さんの膝に乗っけろとせがむ。ついつい甘やかしてしまう。

ある時、奥さんの発案でルールを決めた。
このバスタオルから中へは入ってはいけません、というルールだ。要するに机の周囲を結界(修行のための聖域)とした。

「あそこに座っているお父さんは何かに真剣だ」、という様子は幼稚園児にも充分伝わりはじめたようで、それ以後、お父さんの仕事の邪魔をしなくなった。

職場で結界を作ろう。
あの場所に社長が座ったら話しかけることができない。でも、あの場所以外だったらいつでも話しかけて大丈夫、というようなルールを作ろう。社員だって社長に話しかけるタイミングに気をつかってくれているわけで、分かりやすくしてあげることが肝要だろう。

イラストレーターの和田誠氏は無心に鉛筆を削る。

氏がその作業に入ったときは周囲のスタッフも遠慮する。それは、氏自信の集中力を研ぎすますための儀式でもある。それでもなかなか集中できず、一箱すべて削ってしまったこともあるという。

千葉の関根社長は、社長机の後ろ側に三畳程度の瞑想室を作ってある。
照度を落とした瞑想室の壁には密教のマンダラ図、その前に置かれた毘沙門天像、室内には香がたかれ、空気がピーンと張り詰めている。

そうした聖域をいつか私もほしい。だが、今できることとしては、起床してからメルマガを完成させる午前中一杯までは、極力人と話さないように過ごす毎朝である。

あなたはどのような集中の知恵をお持ちだろうか?