私は「金儲け」(かねもうけ)という言葉がどうも好きになれない。「がめつい」「自己中心的」といったイメージがつきまとうからだ。じゃあ、経営者はお金を儲けてはならないのかというとそうでもない。大いに儲けるべきだとは思うが、そもそも「金」(かね)という言葉や「儲ける」という言葉を使うことに抵抗がある。そんな私だから当然「金儲け」は得手ではない。
私はそれでも良いが、経営者が私と一緒では困る。「事業家は金儲け好きでなければならない」と『巨富への道』の堺屋太一氏。氏は巨富を得た人の共通点として「金儲け好き」をあげているのだ。「金儲けだったら私も好き」と思っている人でも、実は誤解や錯覚をしていることが多いと堺屋氏。そればかりか、金儲けが好きな人は意外に少ないというのだ。圧倒的に多いのは、金を儲けた結果として手に入るゴリヤクが好きなのだ。
たしかにその指摘は正しく、それはあなたの Wish-List を見れば一目瞭然だろう。
たとえば、
・豪邸で優雅に暮らしたい
・長者番付に入りたい
・高級車を乗りまわしたい
・悠々自適、晴耕雨読の生活を送りたい
・周囲にもてはやされたい
・マスコミ取材が殺到する人物になりたい
などの Wish が目に飛びこんできたら要注意。金儲けの結果だけが大好きな可能性がある。
ご都合主義の自分を変えて行かねばならない。なぜなら、経営者には株主がいて、社員がいて、お客がいる。取り引き先もいるし、大切な家族もいる。みんなまとめて幸せにするのが社長業である。「儲けなんか要らないんだ」と言っていたら誰ひとり幸せにできないのだ。
「金儲け」は善、「我欲」は善ばかりとは言えない。かといって、我欲は悪でもない。要は金儲けと我欲は別ものとして整理しておこう。
今日は短いがここまで。明日は、金儲けと我欲の違いをもう少し掘り下げて考えてみたい。
<明日につづく>