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人も会社も CoOperation

「志を為すために生まれてきた」という坂本竜馬と同時代を生きた越後長岡藩の河合継之助は、「命は道具だ」という表現をしている。

大工が家を建てるためにかんなや鋸(のこ)を使うように、事を為すために心の臓があり、命とは道具にすぎないという考え方だ。
幕末において志士たちのそうした過激な考え方は、時には死に場所を求めて急ぎすぎる若者を多数輩出した。

しかし平和な現代社会にあっては、命は道具などではない。何よりも尊いもので、大切にしなければならないもの、それが命だ。

命の捨て場所を見つける必要がない世の中になったという意味では、先人たちに感謝せねばならない。
だが、この平和な世の中で生きる目的をどう見つけるのか、という課題を私たちは突きつけられてもいるのだ。

メンタルマネジメントの能力が問われるわけだが、残念なことに、将来を悲観し自らの命を絶つ人の数が10年連続で3万人を突破しそうだという。
一番多いのは約半数を占める無職者だが、第二位が被雇用者、第三位が会社経営者(自営含む)だという。

特にこの10年、急激に増えたのが無職者と被雇用者の自殺。
それはちょうど、日本企業の多くが終身雇用制度を捨てたタイミングと符合する。
仕事がなくなってしまった、とか、仕事がなくなるかも知れないという不安が中高年を襲っている。

年令別にみると、第一位が60才以上の自殺。
二位が50才代、三位が40才代と年令が高いほど数が多いのには驚きだ。

原因別でみると、60才以上の第一原因は病苦や健康苦、40才代、50才代の第一原因は経済・仕事苦だという。

参考:平成19年6月、警察庁発表資料より
http://www.t-pec.co.jp/mental/2002-08-4.htm

病苦の方に対しては、本当にお気の毒としか言えない私だが、それでもあえて申し上げたい。
病苦の自殺がこの10年において特に増えたのは、メンタルマネジメントの欠如も一因になっているのではなかろうかと。

不治の病を宣告され、経済的困難で充分な治療を受けることができない、それは痛ましいことだ。
それでも天寿は全うしたいものだ。それは生きながらえるという意味だけではなく、貴重なその命を使って何ができるかを考えようではないか。

同じように、会社も存続する目的を持たねばならない。

人間と違って、ただ存続しているだけという会社には意味がないと私は思う。目的を実現するための道具が会社なのだ。

目的とは、経営理念と経営ビジョンである。それらに向けて仲間と日々、肉薄していこうとがんばるからコーポレーション(CoOperation、共同作業)というのではないか。

人間も会社も、目的に向けての「CoOperation」だと私は思う。

戦国や幕末に比べて目的を見つけにくい時代ではあるが、社長とは、それをやる人のことだ。

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※先週の「社員満足」の続きは明日に書きます。